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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > まいん氏騒動に見るラノベの扱いの軽さ

ラノベじゃなかったら出荷停止にはならなかった!? 『二度目の人生を異世界で』に見えるラノベの扱いの軽さ

『二度目の人生を異世界でHJ NOVELS)』 (ホビージャパン)

 10月から放送予定だったアニメ『二度目の人生を異世界で』に出演予定だった声優4人が突然の降板を発表した騒動。直後に同アニメの製作委員会はアニメ化の中止を公式サイトで発表。騒動はそれにとどまらず、原作の出版元のホビージャパンは、すでに18巻まで発売されている単行本の出荷を停止することを決めている。

 作者の作品外での発言が元で出版社が出荷を停止するのは、前代未聞の出来事だ。戦後70年余りの出版の歴史を振り返ってみても、同様の事例はない。

 出版社にとっても、すでに市場に流通している単行本を下げるのは大きな損害であり、おいそれとは判断できない。過去の事例を見ると、盗作や明らかな人権侵害、あるいは、作者が犯罪を犯して逮捕された……というレベルになって、なんとか行われることだ。

「今回問題となったのは、発言したのがラノベ作家だったからでしょう。同じような発言をしても論壇人ならば、批判はされても問題にされることはありませんよ」(出版史に詳しい編集者)

 今回、問題となったのは、作者・まいん氏のTwitterでの「日本最大の不幸は、隣に姦国という世界最悪の動物が住んでいることだと思う」などという暴言だ。

 こうした中国・韓国などに対する強烈な「暴言」を行う作家は、まいん氏に限らない。『永遠の0』(太田出版)などで知られる百田尚樹氏は、Twitterで中国・韓国に対する「暴言」を繰り返しているが、批判はされども単行本は相変わらず店頭に並んでいる。

 むしろ、まいん氏の幼稚な「暴言」以上に、中国や韓国に対する攻撃的な言説を行っている本など、ざらにある(同様に中韓の人々による日本に対する攻撃的な言説も)。

「本の中で、他国を口汚く罵っていたのならともかく、問題となったのは、あくまで作者個人の過去発言。それで、出荷停止措置まで取るホビージャパンは、あまりにも腰が引けています。アニメ化がおじゃんになったから、懲罰の意味合いもあるんじゃないでしょうか」(前同)

 もしも、まいん氏がライトノベル以外のジャンル……いうなれば『永遠の0』のように書店であれば「文芸」コーナーにどっしり置かれるような作家であれば、こうした事態にはならなかったのではないか。

 なんとなく、どんなに売れても世間からは、ラノベは軽く見られている実態を浮き彫りにしたのではないかとも思える。
(文=是枝了以)

最終更新:2018/06/24 21:00
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