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週刊誌スクープ大賞

“紀州のドン・ファン”の哀しすぎる晩節……55歳年下妻の「夜の告白」と浮上する「自殺説」

 今、一人の嘘つき女を新潮が批判している。小池百合子都知事の「学歴詐欺」についてであるが、もともとの出所は今月の文藝春秋だ。ノンフィクション・ライターの石井妙子氏が、小池の売り物である「カイロ大学を首席で卒業」が偽りだと、当時同居していた女性に証言させているのである。

 カイロ大学側は昔から、メディアの問い合わせに「小池は卒業している」と答えているが、これを読む限り、父親が当時、かなり情報相などの要人に食い込んでおり、なんらかの“配慮”があったのではないかと思わせるものがある。

 新潮は説明責任を果たせという。首席というのは大いに疑問だが、カイロ大学が卒業しているという以上、小池がこれについて説明するとは思えない。

 だが、質問された小池は、卒業したことは間違いないが、首席というのは……と口を濁した。

 語るに落ちたのではあるが、これをもって知事から引き下ろすことができるかというと、無理であろう。

 さて、6月9日、東海道新幹線東京発大阪行き「のぞみ265号」車内で無差別乗客殺傷事件が起きた。

 女性2人にいきなり襲いかかり、凶行を阻止しようとした会社員・梅田耕太郎さん(38)が、ナイフで十数カ所を刺されて死亡した。

 逮捕されたのは小島一朗容疑者(22)で、犯行後、「むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった」と話しているという。

 小島のことは後で触れるとして、女性2人を助けようとして、刺されて亡くなってしまった梅田さんに、日本中から同情と、その勇気を称える声が上がっている。

 現代によれば、梅田さんは地元の小学校始まって以来の秀才といわれ、神奈川県の名門栄光学園を出て、東京大学の工学部に入学したそうである。

 がり勉ではなく高校時代はスポーツにも熱心で、大学でもテニスサークルの活動にも熱を入れていたという。

 その上、子どものころから正義感をもった人間だったと、小学校の頃を知る人間は語っている。

 父親は日本経済新聞の元取締役だったそうだ。東大を出て、大学院に進み、博士課程の特別研究員になっている。

 研究者として将来を嘱望され、プラズマ核融合での成果もあげているそうである。

 その後、京セラからSABIC、そしてBASFジャパンへと職場を移るが、謙虚で経歴をひけらかすこともなかったという。

 結婚した夫人は関西だったので、週末、関西に行っていたが、「一緒に暮らしたい」と同僚に話していたそうである。

 事件の日も、夫人が待つ兵庫に帰る途中だったという。

 栄光学園の教育理念は「Men for others」というそうだ。見ず知らずの他人を助けるために危険を顧みず、殺人者に立ち向かった梅田さんは、この理念を見事に実践したのである。

 惜しい人をなくした、そう思う。

 さて、では殺人者のほうはどんな人間なのか。文春によると、小島は両親、特に父親と折り合いが悪く、公立中学に進学するが、やがて不登校になってしまったそうだ。

 中二の時、新学期なので新しい水筒が欲しいといわれ、姉には新しい水筒、彼には貰い物の水筒を渡したら、夜中に、両親の部屋に押し入って来て、包丁や金槌を投げつけてきたことがあったと、父親が話している。

 これが決定的になり、母親が「父親との相性が悪くて困っている」と、自分が勤めている自立支援NPOに相談し、そこで預かってもらう。中学、定時制高校、職業訓練所に通い、在学中に取得した電気修理技師の資格を活かして、埼玉県の機械修理工場に就職し、独り暮らしを始めた。

 NPOの三輪憲功氏は、手のかからない子で、成績はオール5で4年かかるところを3年で卒業し、他人とトラブルを起こしたこともないと話す。

 機械修理会社の社員も、理解力が高く、人間関係も特に問題はなかったといっている。しかし翌年、小島は退社してしまう。

 再び実家で引き籠り状態になり、家出を繰り返すようになる。その後、社会復帰を目指して昨年11月から障害者支援施設で働き始めるが、1カ月もしないうちに「ホームレスになりたい」という理由で来なくなってしまう。

 昨年末から「自殺をする」といって家を出て、野宿をしながら長野県内を転々としていたそうだ。そして6月9日に凶行に及ぶのである。

 メディアの取材に、父親は息子のことを「一朗君」といって波紋を呼んだ。文春にも、「じゃあどういう言葉が正しいんですか。(記者から)『お父さん』と言われると、最初に出ちゃうのが『生物学上の生みの親』なんですよ」と答えている。

 虐待やネグレクトがあったのかという質問には、

「虐待はありえない。この(夫婦の寝室で暴れた)とき、うちの子がお巡りさんに『虐待を受けている』と言ったんですよ。でも、アザとかケガはないから(警察も信じなかった)。その日が、僕が決断した日ですよ。(息子への)教育を放棄した。彼のやりたいことをやらせましょう。外の空気を吸って自立を証明しろ、と」

 以来、法事などを含めて4回しか会っていないという。「親子関係はない」「父親のことは嫌いだったと思いますよ」「取材を受けることが僕の贖罪です」と、時折笑顔を見せながら父親は話したそうである。

 特異な親子関係といってもいいのかもしれないが、実は、息子は5歳の頃に児童保育所から発達障害ではないかと指摘されていたのだ。

 アスペルガー症候群は発達障害のひとつで、神戸連続殺傷事件を起こした少年Aなど、凶悪犯罪を起こす少年たちに多いなどと巷間いわれている。

 だが、私の友人で、この問題に詳しい草薙厚子氏は『となりの少年少女A』(河出書房新社)で、発達障害の少年少女が犯罪を起こす率は少なく、かえって被害者になる可能性のほうが高いと書いている。

 発達障害というのは「早期発見」と「早期治療」が重要で、家族だけで解決が難しい場合は、専門機関に相談しケアが必要。しかし、児童精神科医の数は全国でも60名程度で、主要大学にすら、こうした分野を担う講座が常設されていないという。

 小島容疑者の父親も、病名を聞いたのは息子が高校生のとき、妻から聞いたが、「なんて病気なの?」と聞いただけで終わっているようである。

 私が聞いているところでは、発達障害の人は優秀な人が多いそうだが、集団生活がなかなか難しい人も多いようだ。だが最近では、企業でも発達障害の人を積極的に受け入れ、活用するところが増えてきている。

 小島容疑者も成績はよかったそうだ。もし、両親が早期に、医師やそうした機関と相談して息子をケアしていれば、このような事件を起こすに至らなかったのではないだろうか。

 今週の第1位も、やはりこの事件である。先週も書いたように、紀州のドン・ファンこと野崎幸助氏「怪死事件」は、やはり解決まで長引きそうである。

 50億円ともいわれる遺産。結婚して数か月の55歳年下の妻。月に10日ぐらい東京から通っているという60代の家政婦には、覚せい剤で逮捕されたことがある前夫がいる。

 野崎氏が亡くなる前には、彼が可愛がっていた愛犬が突然死んでいるのだが、覚せい剤で殺された可能性もあると、警察が遺体を掘り起こして調べている。

 さまざまな登場人物。「死ぬまでSEXすることが生き甲斐」と豪語していた野崎氏の話題性。

 多くのミステリーファンを巻き込み、謎が謎を呼び、日本中が注目しているが、真犯人は誰なのか、何のために殺したのか、今夜も眠れない。

 文春は、家政婦の前夫にインタビューしている。このX氏、和歌山県警の殺人課の刑事がきたことを認めている。

 社会部記者は、室内外に設置されている約40個の防犯カメラの解析が終わり、妻と家政婦以外の第三者の侵入や覚せい剤混入は考えられないと、捜査幹部はいっているそうだ。だが、捜査は長期化し、夏までかかるだろうともいっているそうである。

 現代の記者は、Sに改めて事件のことを聞いた。

 もちろん彼女は「自分はやっていない」といい、この家は誰でも簡単に出入りできたと、第三者の可能性を示唆しているのだ。

 防犯カメラについては、

「去年、強盗が入ったときも防犯カメラがうまく作動していなかった。GW中も社長の愛人らしき人たちが何人も出入りしていたし、知らないおばさんが家にいて『新しい家政婦です』って名乗られることもあった」

 このへんは、捜査を取材している記者とは見方が違っている。

 37億円ともいわれる相続についても、「正直そんなにないと思う、会社の経理の人も、赤字があるので整理したとしても10億円ぐらいじゃないかといっていた」とSが話している。

 ここでの注目点は、Sが、野崎との夫婦生活は、「夫婦関係というよりも介護」という感じだったと語っていることである。

 紀州のドン・ファンと謳われ、死ぬまでSEXの代表のように自著でも豪語していた野崎氏だが、どうやらその実態は「粉飾」されていたようである。

 週刊朝日オンラインでは、Sの「介護」の実態をこう書いている。

 通夜に出席した親族はこういっている。

「幸助は脳梗塞を2回やり、よちよち歩きの状態でそう先は長くない。身体障害者の手帳も持っており、覚せい剤なんかやるワケない」

 脳梗塞は1度目は軽いときもあるが、2度目は助かっても重い障害が残ることが多い。私の友人のノンフィクションライターも、2度目で手術して、リハビリを続けているが、身体も口も思うようにはならない。

 野崎氏の会社の従業員もこう語る。

「社長は病気のせいで年中、大も小もオムツに漏らす。オムツで吸収しきれなくなり、床やお風呂にこぼすこともあった。そのたび、家政婦や従業員に掃除させた。車を運転していても、ブーって漏らす。だから2階の社長の寝室は臭いがひどく、奥さんは『あんな部屋上がりたくない』『車で漏らして臭かった』と毛嫌いしていた。奥さんは次第に社長と住むのを嫌がり、月100万円の小遣いをもらうと、モデルの仕事が入ったと東京にさっさと帰っていた」

 自著に、バイアグラなんか飲まないでも日に3回は新妻とできると書いていたのは、どうやら彼の“願望”だったようである。

 フライデーのインタビューでもSは、「(野崎氏と)セックスは1回もしていない」と話している。

「昨年末に出会い、2月に入籍しましたが、結婚前からセックスはしたことがありません。社長の名誉のために言いますが、オンナ好きだったことは間違いありません。
 でも私が出会った頃にはもう、社長はできなくなっていたんです。もちろん、ベッドに呼ばれることは何度も何度かありました。ただそれも、『手を握っていて』とか『一緒に寝て』とか『ほっぺにチューして』と言われるだけで、セックスを求められたことはありません。
 一度だけ、『抜いて欲しい』と頼まれたことがあったので、『頑張るね』と言って手でしたことがあるんですが、それでもダメで、『社長、やっぱり歳だよ』と言ったら『そうか』と」

 哀しい話ではないか。身につまされて涙が出る。

 こうしたことを含めて、ここへきてにわかに「自殺」ではないのかという見方もささやかれているようである。

 女とSEXすることだけが生き甲斐だった男が、自分の意のままにならない萎びたムスコをじっと見て、生きていても仕方がないと自ら死を選んだのではないかというのだ。

 今は、注射一本打てば24時間勃起し続けるED薬もあるそうだが、日に3回がノルマ、SEXするために稼いできた男にとって、そんなものまで使ってSEXするのは、これまでの自分の人生を全否定するようなものだったのかもしれない。

 警察は、何十本もあるビール瓶を調べて、覚せい剤が付着していないかと調べているそうである。

 殺人、それも妻と家政婦に絞り込んでいるそうだ。

 意外に単純な事件なのか、それとも二重三重に伏線が張られている複雑な事件なのか。

 全面解決には、まだまだ時間がかかりそうである。

【巻末付録】

 まずは現代から。巻頭は「独占掲載 女優・原節子の『秘蔵写真』」。もちろんヘア・ヌードではない。

 少しバタくさいが美人である。あの頃の監督の小津安二郎、俳優の佐野周二、みないい男である。

 先日、北鎌倉へ遊びに行った。作家・立原正秋の住んでいた梶原という地を、化粧(けわい)坂を登って、行ってみた。

 立原が時々顔を出したそば屋で、往時を知っているおばあさんから立原の話を聞いた。

 小津の映画なら、このそば屋のおかみは原節子だろうな。北鎌倉は今でも、原節子がひょっこり顔を出しそうな、そんな雰囲気が至る所にある。

 後半は「挑発ランジェリー 板野友美」。可愛い子である。「人気アイドルグループ『夢見るアドレセンス』メンバー 京佳」。袋とじは「現役アイドルがうっかり『素人ナンパAV』出演 衝撃映像を“顔出し”徹底検証」。この子は、国民的アイドルにいて、今は一流ファッションモデル誌のモデルとして活躍している、あの子ではないかと検証したというのである。

 それも間違いなく本人だそうだ。私にはまったくわからないが、そのファッション雑誌のグラビアを一緒に付けてくれればいいのに。

 ポストは、前半、「『“独り飯”が寂しいです』ユン・チェヨン」「河合奈保子」。もちろんヘア・ヌードではない。

 後半は「垂涎のヒップライン 窪真理」。お天気お姉さんとして愛され、今は女優だそうだ。

 袋とじは「VRエロ動画入門」。最近はバーチャルリアリティのエロ動画が簡単に見られるらしい。

 だけどゴーグルをつけて、AVを見てというのは、なんだかめんどくさい気がするのだが。

 これを見ながら外を歩いたら、どうなるのかね。

 まあいい。今週も決定打に欠けて、引き分け。
(文=元木昌彦)

最終更新:2018/08/28 17:23
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