時代劇に革命到来!? 中島かずき脚本『ニンジャバットマン』と綾野剛主演『パンク侍』に驚愕!!
#映画 #綾野剛
これは時代劇革命の勃発と言っていいんじゃないだろうか。お約束の数々、様式美で成り立っている時代劇は長年にわたって日本人に親しまれてきたジャンルだが、近年は民放でのテレビ時代劇のレギュラー枠が消滅するなど、すっかり古くさいもの扱いされている。そんな風潮を覆し、パターン化された時代劇の常識を逆手に取った斬新すぎる劇場作品が次々と公開される。一本目はアメコミ界のスーパーヒーローであるバットマンが、戦国時代の日本へタイムリープし、戦国大名になりすましたジョーカーたちと激突する長編アニメ『ニンジャバットマン』。もう一本は、綾野剛、北川景子、染谷将太、永瀬正敏、浅野忠信ら豪華キャストを擁する実写時代劇『パンク侍、斬られて候』だ。どちらも、従来の時代劇のイメージを180度転回させる、怪作すれすれの快作となっている。
ティム・バートン監督の『バットマン リターンズ』(92)やクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』(08)などの実写映画で知られるDCコミックの人気ヒーロー・バットマンだが、戦国時代の日本を舞台にした『ニンジャバットマン』は宿敵ジョーカーやその愛人ハーレイ・クインらとソードアクションを繰り広げる奇想天外のアニメーションだ。キャラクターデザインは『アフロサムライ』の岡崎能士、映像はテレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのオープニングを手掛けた水崎淳平監督。日本のトップクリエイターたちによるコラボレーションとなっている。
ビジュアルだけでなく、ストーリーも相当にぶっ飛んでいる。現在の犯罪都市ゴッサムシティからジョーカー、ペンギン、ポインズン・アイビー、トゥーフェイス、デスストロークら凶悪犯たちが一斉にタイムリープし、それぞれ尾張、甲斐、越後、近江、陸奥と各地に割拠する戦国大名に入れ替わって暴れ回っていた。このまま放っておくと日本だけでなく、世界の歴史まで変わりかねないと、バットマンは日本刀を手に戦うことに。城下町をバットモービルが疾走し、天守閣ではジョーカーとバットマンが火花を散らして斬り結ぶなど、かつて見たことのない刺激的なアクションシーンが繰り広げられる。
こんなクレージーなシナリオを書き上げたのは、脚本家の中島かずき。「劇団☆新感線」の座付き作家であり、脚本提供作『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(14)は“泣ける映画”として話題を呼んだ。新感線の脚本を書き下ろす一方、平日は「双葉社」の社員編集者として勤め、『クレヨンしんちゃん』の原作者・臼井儀人の編集担当だった時期もあった(双葉社は2010年に退社)。『逆襲のロボとーちゃん』には不慮の事故で亡くなった原作者への熱い想いが込められていた。今回の『ニンジャバットマン』は、中島かずきが昔から愛読していたという山田風太郎(『魔界転生』!)や半村良(『戦国自衛隊』!)の伝奇活劇から受けたインスピレーションを存分に爆発させたものとなっている。新感線の舞台に立った役者たちがギラギラと輝くように、ジョーカーやハーレイ・クインらも実写映画以上に生き生きとした悪党ぶりを発揮している。全編が見せ場となっている、超ハイテンションムービーなのだ。
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