『コンフィデンスマンJP』最高視聴率の要因は“小池徹平のネクラ感”と“見事な伏線とパロディの使い方”!?
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『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)6月4日放送の第9話は「スポーツ編」。最終回目前にして自己最高の視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマーク。前週から1.2ポイントもアップした。
映画化も発表され、止まらぬ勢いを見せた。第9話のあらすじは以下の通り。
IT企業経営者・桂公彦(小池徹平)。彼はスポーツチームを買収しては自分の好き勝手に編成し、弱くなったら売却。それを繰り返し、スポーツファンたちから恨まれていた。ダー子(長澤まさみ)たちはニセモノのバスケットのクラブチームを桂に売りつけ、3年契約7.5憶円を騙し取ろうと企む。
『スラムダンク』(集英社)などからのパロディが目を引く回であったが、伏線を巧みに駆使し、笑いと感動を生み出していた。そのテクニックに触れながら、第9話「スポーツ編」を振り返りたい。
(これまでのレビューはこちらから)
■鼻につくIT企業経営者に共感してしまう“異質の1時間”
伏線の使い方の前に、キャラクターとキャスティングの話からしたい。
今回のメインゲストはIT経営者の桂を演じた小池徹平。一見、頼りなさそうな小池が経営者という役柄はミスキャストのように思えるが、小池が演じたからこそ良かった。
世の中のIT企業経営者は鼻につくイメージの人間が多い。容姿・器量・人格が破綻しているにもかかわらず、美女や煌びやかな日常を満喫している(そうでない人もいるが)。
その身の丈に合わない振る舞いが、鼻についてしまう理由。童顔な小池の身の丈に合わない生意気な振る舞いは、悪目立ちするIT経営者像とマッチしていた。
この身の丈に合わない感じは、物語にも大きく作用している。小池扮する桂は、学生時代は運動音痴でパッとしない存在。恋した女子は皆、運動部のキャプテンの彼女になってしまう。経営者となり美女との結婚生活を手に入れたが、妻はサッカー選手に寝取られる。スポーツへのコンプレックスが金儲けの原動力となり、プロチームの支配欲求にまで転じる。
浮かばれない青春を送っていた者は、大人になってからコンプレックスを埋めようと躍起になる。そんな人間の愚かしさが桂の憎らしさの一因となっていた。しかしその憎らしさの正体は、共感であるようにも思える。
誰しもが完璧な青春など手に入れられない。一流の大学や企業に入った元ガリ勉君が同窓会で調子こいてリア充ぶったり、パッとしなかった女子が彼氏を得た途端「男ってさ~」と、すべてをわかったようなことを言い出したりする。スポーツ選手が引退後に勉強や経営に目覚めたり、勉強も運動も恋愛もソツなくこなした者は自分の普通さを想い悩み、変わったことをしようとする。
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