「金を払って働け」のマーマーマガジンだけじゃない! 出版業界の“超絶ブラック”地獄絵図
#企業 #出版業界
つまり、会社は他で稼がせた金を、さも自社で支払ったかのように渡し、実際には1円の人件費もかけていなかったのである。
「編集長には『社員登用はそのうち』と言われ続け、給与明細もなかったので知らなかったんですよ。あるとき編集長にそのことを聞いたら『試用期間だから』と言われました。当然、何の福利厚生もないまま。最後は3人で抗議したところ感情的な言い合いになって、みんなで辞めたんです。3人とも人生経験が浅い20代前半だったんで、当初は『そういう世界なのか』と思わされちゃっていました」(同)
労働基準法では、勤務が14日を超えた時点で平均賃金30日分以上の支払い義務が生じると定められている。賃金の額は当然、法で定められた最低賃金以上となっている。一部、最低賃金以下に減額できる特例もあるにはあるが、これは都道府県の労働局長の許可があった場合だけだ。
しかし、現実的にはそうした法律をそっちのけで、出版界に限らず試用期間という制度を悪用した雇用トラブルが全国で相次いでいるのである。あるベテラン編集者は「特に出版界では、スキルが身につけられるんだから我慢しろ、という風潮がある」という。
「でも、それは本や雑誌がバンバン売れた時代の名残。月収100万越えがたくさんいた頃は、一人前になれば実際稼げるから、そんな発想があったし、みんな納得してたんですよ。でも、いま年々出版不況になって編集スキルなんて大して役に立たず、30年やってきた編集者でも仕事がなくなっているし、エムエムブックスみたいな弱小出版社で働いたって大金を稼げる編集者になる可能性なんてかなり低い。なのに経営者や編集者がいまだに上から目線なんですから、困ったものです。マスコミのくせに時代を読めていないのが儲からない原因なんですよ」
マーマーマガジンは公式サイトに、「自分を大切にして生きるための雑誌」とし、「持続可能なライフスタイル」を届けるとしていたが、とても人を大切にする組織には見えず、持続可能ではないライフスタイルの提案をしていたことになる。別の出版関係者は「ただでさえ人が集まらなくなっている業界なのに、よくもこんなイメージダウンになる迷惑なことをしてくれたもんだ」とも嘆いている。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)
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