「金を払って働け」のマーマーマガジンだけじゃない! 出版業界の“超絶ブラック”地獄絵図
#企業 #出版業界
安倍晋三首相が「70年ぶりの大改革」とアピールする働き方改革関連法案で、労働者に不当な労働条件を強いられる可能性があることが問題とされる中、「試用期間中は会社に金を払って働け」とする仰天告知を出したのが岐阜県美濃市の出版社エムエムブックスだった。ライフスタイル誌「マーマーマガジン」などを発行する同社は5月末、マネジャーらスタッフ募集の告知を公式ホームページに掲載。それは驚きの内容だった。
「今回、『お金を払って働いていただく』という試みを行いたいと思います。『お金を払ってでもマーマーマガジン編集部で働きたい』『エムエム・ブックスでの取り組みを積極的に学びたい』という方を採用させていただきたく、このような方法を採択することとしました」
記載には「現在、服部が編集・執筆業務について人員が足らず、大変困っております」と、編集長の服部みれい氏がスタッフ不足に悩んでいる旨も記載されていたが、業務内容は編集以外にも「畑仕事から犬の散歩まであらゆること」とされ、1~3カ月とする試用期間を「『ここで学んだ』ということに対して対価を払っていただける方(対価については、みなさまが『学んだ』と思うに見合う額を自由にお支払いください)」とし、給与は本契約後に支払うとした。
これにはTwitterなどで「試用期間が終わってから給与を払うって、それまでかすみでも食って生きろと?」「労働搾取の最たるもの。超ブラック企業」などの批判が巻き起こった。
結果、同社は募集を中止したが、実は、各地の出版関係者からは「自分も似たような経験をしている」との声が複数、聞かれている。
過去にプロレス月刊誌で働いた女性は「アルバイト募集の告知を見て編集部に採用されたのに半年以上も報酬はゼロだった」という。
「記者会見の取材などに行かされて週6日も写真を撮ってメモを編集部に渡す作業をしたのに、編集長は『試用期間3カ月は修業の身。金を払ってもいいぐらいだ』なんて言って報酬をくれませんでした。ときどき取材現場までの交通費だと言って、千円札を1枚か2枚もらうことはありましたけど、働けば働くほど赤字。仕方なく別のアルバイトをやっていたんですが、3カ月が過ぎて『正式に雇ってくれますか』と聞くと、編集長は『原稿も書けないくせに図々しい』と言うだけ。原稿を書く指示は一度も受けていないのに、です。結局、一度も報酬はもらえないまま辞めて、別の出版社に就職しました。そこも経営難ですぐ潰れてしまったんですけどね」(同)
サブカルチャーなど雑多な情報を扱っていた別の月刊誌では、編集部で働く4人のスタッフのうち編集長以外3人が給与明細もない状態で5年以上も働いていたという。
「一般的な編集作業のほか、かなりのページで記事も書いていました。毎月10万円の振り込みがあったんですが、実はこれカラクリがあったんです。同時にまったく別の雑誌編集部にも手伝いでよく行かされていたんですが、その出先からは会社に月10万円の報酬が出ていたことがわかったんです」(20代男性)
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