岩田剛典『崖っぷちホテル!』視聴率は7.8%安定も「崖っぷちにいるんじゃなく、すでに……」
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日本テレビ系の日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』も第8話。視聴率は7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、だいたいこのへんで安定です。
このドラマについては、ちょっと甘いし、ゆるいところもあるけど、基本的には「気持ちのいいコメディですね」といった感じで紹介してきました。岩田剛典演じる主人公のニコニコワクワクホテルマンは愛嬌があってかわいいですし、彼が起こした奇跡の数々も、脚本家の性根のよさが表れていて好印象ですし、戸田恵梨香、渡辺いっけいほかキャスト陣も安定したお芝居で楽しませてくれるし、野性爆弾・くっきー、チャド・マレーン、宮川大輔の吉本芸人3人も、嫌味なく物語世界に溶け込みつつ、しっかり面白い。軽妙な中にも、それぞれのキャラクターに苦悩があって、克己がある。“崖っぷち”からの復活を目指すホテルそのものも、その存在としての魅力を振りまいている。
なので、まあぶっちゃけ第7話からアレだなとは思っていたのですが、この第8話には驚きました。振り返りましょう。
(前回までのレビューはこちらから)
■うんこ!
はい、うんこ。全然面白くない。気持ちもよくない。驚くほどに。
前回のレビューで「物語の底が抜けた」と書きましたが、底が抜けたまま『崖っぷちホテル!』は最終回に向けて走り出したようです。例えるなら、映画『バトル・ロワイアル』からの『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』のようなものです。もう物語は終わっているのに、登場人物たちが無理やりカメラの前に引きずり出されているような感触。ホテル・グランデ・インヴルサの再生をわりと本気で願ってきた私のような良心的な視聴者には、全然関係がない、意味がない、リアリティもない、誰の魂も乗っていない、まるでホテルの抜け殻の中で人間の抜け殻たちが蠢いているような、薄気味の悪い1時間となりました。
これまでは作劇のパターンとして、ある問題が勃発すると、宇海くんがその解決に当たるべき担当者を指名し、その担当者の「本音」と「本気」を引き出すことで問題を解決するとともに、意識を改革するというものでした。
この「本音」と「本気」を引き出す宇海くんの“導き”の見事さと、それに伴って語られるホテルマンとしての理念と誇り、そして従業員それぞれに対する優しさと思いやりが、『崖っぷちホテル!』の感動ポイントだったのです。「能力があるけど、やる気がない」彼らが、ひとりずつ、生き生きと働くようになっていく。誰もが、人として再生していく。そうしてホテルがひとつになっていく。なぜなら、ホテルは人だから……みたいな、そういうとこが気持ちよかったんです。
しかし、従業員全員がホテルを愛し、ホテルをよりよくするために全力を尽くすと決心してしまったドラマには、もう課題がありません。宇海くんが意識改革を完遂してしまったのが、第6話まで。第7話で“最大の敵”として登場した前支配人(佐藤隆太)も、みんなで力を合わせてやっつけました。もうグランデ・インヴルサに、心配事は何もないのです。崖っぷちにいるんじゃなく、すでに崖を登りきっているのです。
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