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日刊サイゾー トップ > 社会  > ビッグサイト問題、完全に手詰まりか

「東京ビッグサイト問題」完全に手詰まりの中で探る改善策の行方……日本展示会協会が解決に向けて開催した集会の空気

「これは決起集会なのか?」

「シャンシャンで終わらせるだけだろう」

「ビールでも振る舞って帰す気じゃないのか」

 参加した関連業者からは、さまざまな不安の入り交じった声が聞こえてきた。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックが原因の東京ビッグサイト使用制限問題。ギリギリまで打開策を探っている日本展示会協会が5月29日に開催した「ビッグサイト問題」に関する議論・要望・意見交換会」。集まった500人余りの展示会主催者と関連業者の顔は、決して明るくはなかった。

 東京五輪にあたって東京ビッグサイトがメディアセンターとして利用されるために、同施設でのイベント開催が不可能になる。そんな問題が浮上したのは15年のことだ。

 以来、主催者を中心に組織される日本展示会協会は、東京都などに改善策を要求。東京ビッグサイトで開催される、さまざまな展示会が主たる業務になっているディスプレイ業や印刷業者など関連業者による都庁デモなども繰り返し行われてきた。

 だが、東京ビッグサイトをメディアセンターとして利用する方針は変わらなかった。東京都では、東京ビッグサイトから1.5キロほど離れた青海の都有地に仮設展示棟を建設するなどの「善処」を示した、けれども、それらは業者側にとっては焼け石に水。19年以降の各種催しの規模縮小や中止は避けられない。

 日本展示会協会によれば、19年4月から20年11月まで、東京ビッグサイトの平均利用可能面積は35%まで縮小。関連企業8万2,000社が影響を受け、2.2兆円の損失が見込まれるとしている。

 日本展示会協会では「最後のチャンス」として、改めて東京都に要望を届ける方針を打ち出しており、その一貫として開催されたのが、今回の「議論・要望・意見交換会」であった。

 これまで、この問題では幾度も「タイムリミット」「最後のチャンス」という言葉は使われてきた。けれども、いよいよ本当に手詰まりになる時が迫っている。

 東京ビッグサイトを管轄する東京都が、最大限の「善処」として青海に仮設展示棟をつくることを決めた。けれども、これもまったく十分ではない。

 むしろ、これは主催者と関連業者に、余計に不満と不安を募らせる原因となっている。まず、その設備が問題だ。東京都では面積は2万3,000平方メートルあるとするが、ここにレストランや受付、控え室などを準備すると、有効面積は1万8,000平方メートル程度と、現在の西展示棟の半分ほどにしかならない。また、トラックヤードなどの設備も十分ではなく、搬入搬出にも困難が見込まれる。

 このような状況で、果たして来場者が集まる展示会が可能なのか? そんな不満と不安が渦巻いているのだ。

 完全に手詰まりともいえる状況。だが参加者が自由な発言を交わす場であるはずの「議論・要望・意見交換会」は、まったく振るわなかった。参加者からは、冒頭に記したような声が次々と漏れていた。中には「これはガス抜きか」と、こぼす関連業者もあった。

 もう、どうにも手遅れなのは薄々わかっている。でも、関連業者には、まだ仕事は通常通り回っているという現状がある。それが、余計に不信を生んでいるように見える。

 ある関連業者は、こんな言葉を漏らした。

「今のところは、仕事はいつも通りです。でも、主催者には来年、再来年の開催予定が決まっているはず。どのタイミングで仕事が減ることになるのか……」

 これまでの取材の中では、問題が浮上して以降、日本展示会協会や関連業者による解決に向けた動きそのものが作戦ミスだったと指摘する人もいる。

 ただ、今さらそれを指摘しても、なんら事態は改善しない。もはや降りられないレールを進みつつある中で、どうやって被害を最小限に減らすか。それが、これからの課題となっていくだろう。

 なお、これまで問題の解決を口にしてきた、幾人もの政治家や、その関係者の姿が会場には見られなかったことは記憶しておきたい。
(文=昼間たかし)

最終更新:2018/06/07 22:30
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