若林正恭やバカリズム……“文学賞受賞芸能人”続々も「これでいいのか?」と疑問の声! 過去には有名直木賞作家から苦言も!
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5月28日、オードリーの若林正恭が著書『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(KADOKAWA)にて、優れた紀行文に贈られる『第3回斎藤茂太賞』を受賞した。内容は、若林が一昨年に3泊5日で訪れたキューバ旅行について綴ったもので、人気作家の椎名誠氏から「これは純文学だ」と絶賛されるほどの好評価を得ている。
若林の他にも、4月3日にはバカリズムが優れたテレビドラマの脚本家に贈られる『第36回向田邦子賞』を『架空OL日記』(日本テレビ系)にて受賞。他にもカラテカの矢部太郎が大家のおばあさんとの交流を描いたエッセイ漫画『大家さんと僕』(新潮社)が『第22回手塚治虫文化賞短編賞』を受賞するなど、芸人の出版界での快挙が続いている。
また、芸人だけではなく、モデルの押切もえが『永遠とは違う一日』(新潮社)で2016年の『山本周五郎賞』にノミネートされたり、人気バンド「SEKAI NO OWARI」のSaoriの『ふたご』(文藝春秋)が2017年の『直木賞』にノミネートされるなど、タレントの文学界参入もまた、目立ってきている。
「2015年にピースの又吉直樹さんが芥川賞を受賞した際は話題になりましたが、それからというもの、芸能人作家が続々と誕生。その芸能人作家が文学賞を受賞し、ニュースになるたびに、読者からは決まって『これでいいのか?』『書くことを本業にしている作家に失礼では?』と疑問の声が上がっています」(芸能ライター)
このように、最近の芸能人の文学賞受賞&ベストセラー化というのが多くなっている状況について、現役文芸編集者はこう語る。
「芸能人の文学賞ラッシュについては、出版不況のための話題作りという面は否めません。最近は、芸能事務所のほうから『うちの◯◯、けっこう文章書けるんだけど……』とプッシュを受け、試し読み用の原稿を受け取ることも少なくありません。特に20代後半の女性タレントのケースが多いですが、知的路線に変更して、あわよくば本を出してコメンテーターの仕事を……なんていう事務所の思惑が透けて見えます」
また、こういったタレントの文学賞受賞の多さについては、作家からも苦言が相次いでいるという。芸能人の文学賞批判を表立って行ったのは、押切もえと僅差で『第29回山本周五郎賞』を受賞した湊かなえだ。湊は「小説新潮」(新潮社)2016年7月号に掲載された山本周五郎賞の受賞エッセイの中で「文芸の外の人が2作目なのに上手に書けているという、イロモノ扱いのままで審査された作品と僅差だった。そのような結果が動力になる小説家がいるのでしょうか?」と痛烈なコメント。さらに湊は「二番煎じの愚策に巻き込むのは、どうか今年限りにしてください」とも書いており、後者の発言は又吉についてのことだといわれている。
「湊さんの意見については賛否両論ありますが、作家の林真理子さんも又吉さんの『火花』(文藝春秋)については『つめ込みすぎ』と、苦言ともとれるアドバイスを出演したラジオでしていたりします。まあ、作家からしたら明らかにタレントということで下駄を履かせてもらっているように感じるのでしょうね」(書籍編集者)
又吉は『火花』の次の作品として、恋愛小説『劇場』(文藝春秋)を出版したが、こちらは処女作に比べるとイマイチ盛り上がらなかったのは事実。
「又吉さんも相当なプレッシャーの中で第二作を生んだのだろうし、あまりにメディアが持ち上げすぎると、タレント作家の才能をつぶしてしまう可能性もあります。タレントに下駄を履かせすぎるのは、本人にとっても出版界にとっても良くないこと。売れないといけないのはわかりますが、もうちょっと考えたほうがいいのでは」(同)
とはいいつつ、タレント作家の作品の中にも良い作品があるのも事実。今後も増えていくであろう芸能界からの作家デビュー。その動向を見守りたいところだ。
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