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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > ドラマ『宮本』アメフト問題とカブる

なぜか日大アメフト部問題とシンクロした展開!! 池松壮亮が頭を丸めた『宮本から君へ』第8話

■もはや営業スタイルの違いではなく、生き方の問題

 頭を丸めただけでは、事態は何も変わりません。営業マンとしての経験の浅い宮本が頼れるのは、やはり神保です。日曜日ですが、宮本は迷わず神保のいるマンションにGOです。坊主頭になった宮本を、ひとまず神保は笑って受け入れてくれました。大手製薬会社への入札は諦めて、頭を切り替えたほうがいいと一般論を説く神保に対し、「それを認めたら、一般論をつくった人以上にはなれないと認めたことになりませんか」とまだ喰らい付きます。「最後までもがいてれば、望みは消えないと思います」と信念を捨てない宮本に、もはや返す言葉を神保は持っていません。2人にとっての仕事とは、営業とは、食べるための手段のみならず、自己実現のための重要なものだったのです。熱風ブラザーズの再結成です。

 月曜日。ケンカ騒ぎを起こしたことを、文具問屋の安達のところまで謝罪に宮本は向かいます。スーツ姿に坊主頭はまるで似合いませんが、安達たちの大笑いした表情にホッとしました。ところが、宮本が頭を丸めたことを面白く思わない人間もいました。宮本がケンカを売った益戸です。子どものように頭を丸めた宮本を見て、益戸はおもむろに不機嫌な顔になるのでした。スマートでクールな営業スタイルを標榜する益戸にとって、それはもっとも肌に合わない謝罪方法だったのです。

「僕には生きていく上で、仕事以外にも興味があることがたくさんあるんだよ」と益戸は上から目線で語ります。ひとりの人間の持てるパワーが100%だとしたら、益戸は30~40%程度の力で要領よく仕事を済ませ、後はプライベートを充実させたいというタイプです。そこへ120%以上の情熱をたぎらせながらド新人が30~40%の枠に首を突っ込んでくるのはウザすぎるというわけです。もはや営業スタイルうんぬんの違いではなく、人間としての生き方の問題です。頭を丸めて、ますます純粋無垢化している宮本は、益戸のいう大人の営業スタイルが受け入れられません。大手製薬会社へのクリアファイル納品の件をまだ諦めていないことを、ついつい益戸にバラしてしまうのでした。勢いに任せて感情を爆発させてしまう宮本は、やっぱり大バカものです。

 目の前の仕事に全力を出し切ることに快感を覚える宮本のような体育会系のサラリーマンもいれば、最小限の努力で最大の効果を狙う策士タイプもいるわけで、さまざまな価値観が組み合わさって大人の社会は成立しています。益戸のやり方は決してフェアではありませんが、彼としては自分が持っているコネと営業テクニックをフル発揮して、入札を勝ち得たのです。学生時代と違って、努力よりも結果を残すことが重要視される社会人としてのシビアさを、異なる価値観の持ち主である益戸から学ぶ宮本でした。

 次回、第9話の宮本は、むかつく益戸に反撃するために驚異的な粘り腰を見せることになります。予算も時間もコネもない中で、宮本はどんな逆転劇を演じてみせるのでしょうか。宮本の過剰な情熱がようやく実を結び始める第9話も見逃せません。
(文=長野辰次)

最終更新:2018/06/01 23:00
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