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日刊サイゾー トップ > エンタメ > アイドル  > 大石理乃が苦言する“おじさん”の生態
“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.6

アイドル界にも存在する? 大石理乃が苦言を呈して話題の「SSWおじさん」その生態と心理とは

 次に挙げられる理由として、一般の会社などにも多いのだが、人を批判したり、説教をしたりという行為自体が好きな人というのが存在するという点だ。そういう人が、会社などで妙な権力を持ってしまうと、部下にあたる人はたまったものではない。昨今、パワハラやセクハラ問題が大きく取り沙汰されるようになったとはいえ、弱い立場にキツくあたる人は、まだまだいる。

 ライブでの力関係は、必ずしも「客>演者」ではないはずなのだが、まだそれほど多くはないファンを無下にすることもできず、悩んでしまうアーティストもいるのだろう。

 もうひとつ、環境的な問題もある。ライブの後に自作のCDを手売りしたり、その際にファンと話をしたりするという、「地下アイドル+ミュージシャン」のようなスタンスの文化は、そこに生まれるルールなどがまだ固まりきっていないのだ。

 いいにつけ悪いにつけ、ここ最近のアイドルブーム以降、“アイドル現場”というのは常に注目される存在となった。それにより、何か問題が起きれば、他のヲタクがそれをネットで拡散し、当事者を批判するというサイクルで、顕在化してきたのである。

 事実、アイドル現場ではもうずっと以前から、問題のある行動をする人たちを指す「厄介」という言葉が流布している。運営や他のファンがそのように認識することで、現場のルールというものが形作られているのだ。

 そんなアイドル現場でも、多かれ少なかれ、アイドルや運営に批判的なことを言うヲタクはいる。もちろん、本当に相手のことを考えての苦言やアドバイスであれば、それなりに意味のあることだろう(ただし、私は個人的にはそれでも余計な口出しをすべきではないと思っている。嫌なことがあるのであれば、その現場に来なければいいだけのことだ)。

 しかし、ただ“批判したいがための批判”は、お互い何の得にもならない。

 では、相手のためになる助言とそうでない助言との差は、どこにあるのだろうか?

 端的に言ってしまえば、“そこに愛情が介在するかどうか”である。本当に相手のことを思っての言葉なのかどうか、そこが重要なのだ。ただ単に自分の好みと違うことをしたから文句を言うのか、5年先、10年先まで見越して、「今こうしておいたほうが絶対に良くなる」との思いからアドバイスをするのか、その差は大きい。

 それぞれが楽しめる現場を作るために、アイドルやアーティストのファンの人たちには、「厄介」な存在にはなってほしくない。だから、もし相手に何か言いたいことがあったとしても、まずは一度、それが本当に相手のためになるのかどうかを考えてみてほしい。あなたのためにやり方を変えることによって、それをいいと思っていたファンを減らしてしまう可能性もあるのだ。

 そして、もしこの記事をSSWおじさんに困っているアーティストが見ていたとするなら、ある程度ドライに対応することも、やむを得ないことだと知ってもらいたい。本当に、ファンを平等に扱うためには、その場の対応だけではなく、先々多くのファンを獲得した時のことまで考えるべきなのだ。日本人は、とかく「聞き流す」というスキルが不足している人が多い。ビジネスで成功している人ほど、聞き流すことが上手いものだ。

 それにしても、この世界では、次から次へとよくいろんな「厄介」が出てくるものだ思う。厄介な存在を乗り越え、演じる者と見る者の思いが調和し、少しずつファンの輪が広がっていく現場は楽しいものだ。そんな場所が、少しでも多くなるよう、願わずにはいられない。

(文=プレヤード)

最終更新:2018/12/27 16:52
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