『ガイアの夜明け』テレビ東京の“レオパレス告発”で踏んだ「虎の尾」
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5月29日放送の『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)が、賃貸アパート大手のレオパレスのアパートに建築基準法違反の疑いがあることを告発。レオパレスは番組放送直前に記者会見を行い、施工不良があったことを認めた。
レオパレスのアパートに関しては、「壁が薄く、音漏れがひどい」との声がネットに寄せられており、告発はそれを証明した形だが、テレビ東京が“パンドラの箱”を開けたのも事実だ。
同日の放送は、不動産投資の実態に切り込んだものだった。番組によれば、レオパレスの一部のアパートの天井裏には、遮音や延焼を防ぐ「界壁」が設置されていなかったとのこと。しかも『ガイアの夜明け』がレオパレスを告発するのは二度目のことだ。週刊誌の経済記者が語る。
「『ガイアの夜明け』は昨年末、不動産業界の経営手法に疑問を呈する特集の中でレオパレスを取り上げました。番組にはレオパレスのアパートのオーナーが登場し、家賃保証はまったくのウソで、営業マンがオーナーに家賃収入の減額や解約を迫る実態を告発。『契約から10年を超えたアパートは、基本的に解約を前提とした交渉を行う』という社内メールを突きつけられた社長が、言葉に詰まるシーンも放送されました。ところが29日の放送は、詐欺まがいの経営手法のみならず、アパート自体にも問題があることを白日の下に晒しました」(経済記者)
界壁がなければ、部屋と部屋との遮音性が著しく失われるだけでなく、ひとたび火事が発生すれば、瞬く間に火が燃え広がってしまう。ネットニュース編集者によれば、レオパレスに関しては、ネットでこんな都市伝説が語られていたそうだ。
「レオパレスの音漏れネタは、ネットでは有名でした。『チャイムならされたと思って玄関を開けたら、四軒隣の部屋だった』『ティッシュを取る音が聞こえてくるのは当たり前、携帯のポチポチが聞こえることも』『右の隣の部屋の住人が屁をこいたら、左の部屋の住人が壁ドンしてきた』といった“レオパレス伝説”がありましたが、実際に音が漏れるような構造になっていたということですよね」(ネットニュース編集者)
『ガイアの夜明け』で自社のことが報じられることを知ったレオパレスは、29日の夕方に急遽会見を行い、施工の不備を認める一方で、意図的な手抜き工事ではないと主張。レオパレスのアパートは全3万棟以上も存在するため、影響は広がりそうだが、「今回の放送でテレ東は虎の尾を踏んだ」と語るのは、大手広告代理店の関係者だ。
「レオパレスもそうですが、アパート経営の大手はテレビ業界の大スポンサーです。東建コーポレーションやシノケン、大東建託などは、有名芸能人を起用してバンバンCMを流しているので、ご存知の方も多いでしょう。本来ならば、同業他社の不祥事はビジネスチャンスですが、繰り返しアパート経営のいかがわしさが報じられると、『アパート経営は胡散臭いもの』という認識が広がり、市場全体が萎む可能性があります。『ガイアの夜明け』はテレビ東京と日本経済新聞が全面的に協力して作っている番組ですが、あまりに不動産業界を叩くと、テレ東も日経新聞も大口スポンサーを失うリスクはあるでしょう」
視聴率が伸びず、新聞が売れない今、スポンサーはお客様以上に大事な存在。スクープの社会的意義は大きかったが、相応のリスクは背負い込んでしまったようだ。
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