『シグナル』「カネもコネもない奴を生贄に……」警視庁が憤激してもおかしくない展開も、主演・坂口健太郎の好演が光る
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ストーリー的にも安直すぎますよね。この先、クライマックスに向けて勧善懲悪の流れになっていくのが予想できます。大山が無実を証明することで亮太は自殺をせず、現在の世界でも健在。健人の心の闇が晴れてハッピーエンド、といったところでしょうか。
お決まりのレールに沿うような進行。そして、話を円滑に進めるための都合のいい演出は、健人が岡本の別荘を捜査したシーンでも発揮されていました。捜査令状を取っていなのに勝手に入り込んでいたのです。これって、完全に不法侵入ですよね。しかも、手袋をつけずに白骨死体を掘り起こすという愚まで犯していました。
脚本や演出に粗が目立つ一方、坂口健太郎の好演ぶりは光っていました。今回、亮太の自殺死体を発見してしまった幼少期や、兄が濡れ衣を着せられたことを知る高校生時代など、暗い過去を振り返るシーンがあったのですが、悲しみ・怒り・憎しみといった負の感情、それを抱えつつ真実を暴き出そうという意思の強さなどが感じられる演技を、しっかり披露していました。
坂口にとって本作が、連続ドラマ初主演作となるのですが、正直なところ、ドラマが始まった当初は、まだその器ではないと感じました。たどたどしい演技が目立ち、ストーリーの流れを阻害してしまうこともしばしばあったのです。
しかし、回を追うごとに表現力が増したため、健人というキャラクターに次第に血が通い、感情が奥深くなっていくのが感じられました。刑事として一人前になっていく健人同様、坂口も役者として急成長した印象で、まだまだ伸び代もありそうな予感がします。
ドラマも残すところあと僅かですが、坂口がさらに健人のキャラクターをモノにし、クオリティの高い演技を見せてくれることや、筆者が予想した展開を、いい意味で裏切ってくれることを期待しつつ、次週放送を待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)
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