金沢競馬で八百長疑惑勃発!? 暴力団員が語る手口は「夜中に忍び込んで、馬に筋弛緩剤を……」
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
ところで、コラムは週刊誌の顔である。現代ならば伊集院静、文春なら林真理子、新潮は藤原正彦、ポストはビートたけし。
朝日は東海林さだお。「あれも食いたいこれも食いたい」は今週号で1497回である。今でも名コラムといわれるものに山口瞳の「男性自身」(新潮)がある。テーマは旅から交友録、競馬の話までと幅が広い。
東海林のコラムは食べ物だけに限定している。それを毎週書き続けるというのは並大抵のものではないだろう。今週も手本にしたいほどの名文である。書き出しはこうだ。
「何をするにしても“いきなり”というのはよくない。いきなりで物事がうまくいったためしがない。
物事には順序というものがある。何をやるにしてもまず入念に下調べをし、準備を整え、手順を踏み、これまでの前例を調べ、リハーサルを経てから事を行えば大体うまくいく。(中略)
たとえば結婚。いまはできちゃった婚などという結婚もあるが昔は厳格な手続きが必要だった。まず見合いというものがあった」
結婚からTOKIOの山口のキスの話へと広がり、財務省・福田次官の「いきなりオッパイ」につながる。
「人はいきなりで失敗する。いきなりで人生に躓く」のだが、いきなりで成功した人もいると、昨今評判の店「いきなり! ステーキ」へと結び付ける。
結びは「もし『いきなり! ステーキ』が『立ち食いステーキ』だったら……」
結びで大事なのは「余韻」だと、読売新聞「編集手帳」を担当していた名コラムニスト竹内正明が『「編集手帳」の編集術』(文春新書)で書いている。竹内はコラムの理想形として「之字(のじ)運動」をあげている。
戦争中海軍が敵の魚雷を避けるために「之」に似たジグザグ航法をとったように、どこに向かっているのか書き出しを読んだだけでは本題がわからない書き方を心がけているというのである。東海林のコラムを読むだけで400円を払う価値がある。
ポストの60歳過ぎてからの極上の孤独のすすめにいこう。下重暁子の『極上の孤独』や五木寛之の『孤独のすすめ』が売れている。
五木のほうは読んでみた。ほとんど内容は忘れているが、孤独の話より、老人たちがこれから世直しのために立ちあがれという、老人を鼓舞する内容だったと記憶している。
孤独というのは、何もわざわざそうしなくとも、ある程度の年齢になれば、嫌でも孤独になる。
両親の死、友人たちの死、愛犬の死、結婚していた相手が亡くなることもある。
下重がいっているように、わざわざ一人になれる空間を作らずとも、嫌というほど孤独は周りに充満し、押し潰されそうになる。
昔は粋がって「群衆の中の孤独」などと嘯いていたが、そんな群衆と遭遇することもなくなる。
孤独を楽しめと、みなさんおっしゃる。それは、すぐ隣に家族がいて、外に出れば仕事仲間や飲み仲間がいるからいえることではないのか。
私はまだ幸いにして「真の孤独」というものを味わったことがない。だがそれもあと数年のうちに味わうことになるのだろう。
妻の朝丘雪路が認知症(なぜ認知症で死ぬのだろう?)で死んで、亭主の津川雅彦は、「先に死んでくれてありがとう」といった。認知症の介護で相当辛い思いをしたのであろう。
だが、その言葉の行間に、オレのほうが先に逝きたかった、一緒に死ねばよかったという悔悟の念を見てしまうのだが。
孤独なんて、自分から進んで味わいに行くことはない。だが、私はこうした企画が好きである。
いまは死についての本を乱読している。余生を悔いのない送り方をしたい。そんな、誰もなし得ないことを夢見て、毎日を無為に過ごしているが、これはこれで楽しいものではある。
さて匂いに敏感な人は呆けないとよくいわれる。文春によると、アルツハイマー型やレビー小体型の認知症では、物忘れなどの症状が出る前に、嗅覚機能が衰える傾向があるという。
したがって、朝食に、パンの焼ける匂いやコーヒー、ご飯とみそ汁の匂いをきちんと嗅いで、脳を刺激することが大事だそうである。
スクープにもいろいろな形がある。今週号の文春のゴーンの元妻の告白もスクープだが、現代のグラビア「映画監督 是枝裕和」もある意味でのスクープだと、私は考える。
この時点では、是枝監督が第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するニュースは入ってきていない。
彼の『万引き家族』が、今村昌平監督『うなぎ』以来21年ぶりに受賞したのである。日本映画のパルムドールは5作目になる。
私はこの映画は見ていないが、『誰も知らない』『そして父になる』は見ている。『そして父になる』は子どもを取り違えられた夫婦の物語だったと思うが、福山雅治の父親役に違和感があり、映画に入り込めなかった。
是枝は、政治的な発言もする行動的な映画監督である。今度の映画も、年金不正受給を題材にしているらしい。
日本を代表するとまではいわないが、まだ55歳。さらなる高みを目指してもらいたい。
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