プレミア本が捨て値で売られている衝撃……「メルカリ」にもせどりが巣食うのか
#本 #メルカリ
いらない本や不要品を売ろうとした時、いま高く売れるところと薦められるのは「メルカリ」。とりわけ、本は「メルカリが高く売れるよ」と、言われるようになった。
確かに、ブックオフのような新古書店は、箱に本を詰めて発送すれば、簡単にお金に換えることができる。でも、段ボールにせっせと何箱も詰めたのに「これだけにしか、ならないのか」ということもたびたび。もし、もっと高く売りたいと思い立った時には、メルカリのほうが便利なんだろうと思うところもある。
でも、一時の狂乱は収まったとはいえ、やっぱりメルカリはカオス。「なんで、この本が、この価格で?」ということも多い。実は、高いのではなく、信じられないくらいに安いことも多いのだ。
最近、驚いたのはメルカリに千坂恭二『歴史からの黙示』(田畑書店刊)が出品されていたこと。これ、活動家で思想家の千坂氏の初めての著作。読みたいけれども入手難。たまに、Amazonや日本の古本屋に出品されても、2万円超えの価格が当たり前。
それが「アマゾンなどでは約2万円ほどします」の一言を添えて1,700円で出品されていたのである。
これには驚いたが、残念なことに既に売約済み。これに悔しさを感じて以来、筆者はこまめに、探している本をメルカリで検索するようにしている。
しかし、出るわ出るわ。安さに気づくのが筆者の興味の範囲に限られるのだが、“大仕事”のサブテキスト『日本禁歌集の宇宙』(邑楽舎刊)が1,555円だったり『夢野京太郎小説集 世界赤軍』(潮出版社刊)が2,999円だったり。これ、その手の古書店に行けば見かける本とはいえ、半額くらい安いぞ……。
「Amazonの古書は脅威ですが、メルカリはもっと脅威ですよ」
そう話すのは、旧知の古書店主。
「Amazonで古書が扱われるようになってから、値下げ合戦も当たり前になりましたが。メルカリはもっと怖いですね。あんまり興味のある人はいないけれど、欲しい人は欲しい本というのがあるじゃないですか。だから高値をつけることができたのですが、それもできなくなるんじゃないかと不安です」
先行するネットオークションである「ヤフオク!」は、多くの場合、出品者も価格帯を研究し、それなりの相場がついていた。ところが、なぜかメルカリは不要品処分の感覚で捨て値販売が当たり前になっているように見える。
やがて、メルカリにもブックオフのようにせどりが殺到するのか。ここは仕方ない。ライバルが増える前に、欲しい本は毎日、出品されていないか検索をかけ続けよう。
(文=昼間たかし)
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