トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > その他 > ウーマン・ウェジー  > 子供を可愛いと思えない母親は変なのか?「全て義務感からやっています」
【wezzy】

子供を可愛いと思えない母親は変なのか?「全て義務感からやっています」

 親は、子供が産まれた瞬間から、その子を全力で愛し慈しむものである……。果たして本当にそうなのか。日々起こる子供の虐待死事件や、ネグレクトなどの報道を見るにつけそこに疑問が浮かぶ。事件に至らないまでも、親の多くは……特に出産直後から育児を主として担う母親である女性は、我が子を可愛いと思えない瞬間や時期があるように思う。決しておおっぴらにはそんな話はしないが、発言小町でそんなアンタッチャブルな相談をぶっこんできたトピ主がいた。

どう頑張っても我が子をかわいく思えない
 トピ主(30代女性・会社員)は同年代の会社員夫との間に3歳の男の子を育てているが、のっけから「生んだ義務感だけで3年間育ててきました」とこう切り出す。息子に「お母さん大好き」と言われても心の琴線に触れず、嬉しいと思えないのだという。だが満面の作り笑顔で「お母さんの方が10倍〇君のことを好き!」と“女優演技”で返している。なぜなら、息子が道を誤って将来お荷物になられたら困ることと、もともと完璧主義なトピ主であるため、子育ても(内心はもうどうしようもないのでともかく)形だけでもきちんとしないと気が済まないからだ。

「息子の幸せが保証されるなら、息子がいなくなっても構いません。
保育園や色々な方から素直で賢くよく笑い、お目目くりくり可愛い、頭がいいと言われます。
もりもり食べ、片付けもでき、ワークは6歳レベル。お利口だと思います。
私は時短ながら社内で何度も表彰され仕事充実、
夫は協力的で朝の送りや飲み会、友達との外出も快く家事育児引き受けてくれ、息抜きも充分。
義両親とも良好で、何不自由ない生活を送れていると思っています」

 完璧なワーママであるトピ主は料理にも手を抜かず毎日手料理を作り、毎週の休みにはピクニックや博物館など息子が喜ぶレジャーに出かける。絵本の読み聞かせも毎日欠かさない。また花図鑑を持って出かけ、息子と二人で道端の花を調べたり、仕事終わりに親子教室に週2通わせ(本人が喜んでやっているからだという)、1日50回以上「ねえねえお母さん」と質問&延々妄想の作り話にも全て真面目に返答し、邪険にはしていない。むしろわざと間違えたり、質問してみたり、ノリノリ演技をしているのだそうだ。

 だが「ここまでやっているにも関わらず、息子とのやり取りが楽しいとか興味があるとは露ほども思えません。全て義務感からやっています。息子が喜ぶ姿をみても、ああ義務が果たせたと思うだけ」とトピ主は綴り、こう問いかける。

「なぜなんだろう?
同じような方いらっしゃいますか?
子が可愛いからこそ子育ては大変でも頑張れるのだと思いますが、
原動力がないのに必死に女優を演じるのが厳しいです。
何かアドバイスをいだだけましたら幸いです」

 原動力がないのにここまで女優(トピ主に言わせると)を演じきっていることがすごい。まあ……子育てをしている&してきた者であれば、必ずしも毎日子供のことを愛しいと思えないことがあるということはよくわかっているだろう。だがトピ主はそれが出産から毎日続いているということのようだ。原動力がないとは書いているが冒頭あたりに「道を誤って将来お荷物になられたら困る」「もともと完璧主義」とも書いているので、その辺が大きく関係しているのかもしれない。

 親は子供を24時間365日全力で愛するもの、特に母親はそうあるものである、という神話が浸透しているので、こんなことはリアルの世界ではなかなか話せない話題ではある。だからか、コメントは、トピ主への批判もあるのだが、意外にも『同意』意見が多く書き込まれた。

「娘がいますが、小さい時の相手が苦痛でした。
子供ならではの可愛さなんて、あまり感じられず。
早く大きくなって対等な会話が出来たらいいな・なんて思いながら子育てしてました。
娘は10代後半になり、大人と対等に会話をしています。
一人の女性として意見交換が出来、娘がいて良かったな、楽しいなと思えています」

「私は何も考えず2人産みましたが、下の子が大変過ぎて生まれて4歳くらいになるまで記憶がないほど育児が辛くて、ストレスで禿げました。
今は二人とも小学生になってだいぶ楽になりました。
大事な存在でおもしろいと思うことはありますが、かわいいと思うことはほとんどないです」

「子供なんて生んだら無条件に愛情が沸くものだと思っていました。
でも生まれて手をかけても可愛いと思えない。
先日、初孫が生まれ遅まきながらその意味が理解できた気がします。
ああ、可愛いと思う暇、時間がないほど自分は懸命だったんだなって。
何としても育てあげ、社会に出さねばと毎日思ってました。
手をかけた料理も食べてくれると嬉しいというより、今日の義務が済んだと
思うだけの日々が懐かしく思いました」

「私も子供好きではありませんでしたし、
子供が生まれてからも、子供の相手より映画見たり本読んだり
友達としゃべったりしたいなあと思ってました」

「義務感だけの子育てでした。
でも、あなたの方がすごいです。私には出来なかった、、、。と思います。
多分、出来たら良かったんでしょうね。
とにかく私は子供が好きではなかったので、
あの話の通じない無垢な生き物の時期がとてつもなく辛かったですね。
旦那にも、『子が可愛くない。育児が辛い。』と言いましたね。
素直な気持ちで『ママ大好き!』という感じが、同じ熱量で返せなくて、
本当に居たたまれないというか。ただ、それだけのことが辛くて重いというか。
周りのママも子が大好き!という方もいましたが、
でも子が可愛くない。と思っている方も、結構いましたよ。
お互いに愚痴を言いあい、それらに私はたくさん助けられました。
もちろん旦那にも、助けられましたね。
でも話が通じるようになってから、楽になりました。
小学生くらいですかね。徐々に話がかみ合うようになった辺りから、楽になってきます」

 なんとなんと、トピ主と同じように“子供を可愛いと思えなかった”人が結構いた。筆者もそのタイプで、子供が産まれてしばらくは未知の生命体(赤ちゃん)との生活に全く慣れず、愛情よりも恐怖感の方が強かった。喋れるようになって楽になるというのは確かにそうかもしれない。

 また、母性神話や“親は子供を可愛いと思うものである”という謎めいた世の中の価値観が無意識のうちにプレッシャーとしてのしかかっているのではないかという指摘もあった。

「ぴぴさんは『子供を可愛いと思わなければいけない』と思っていませんか?
自分が産んだ子供でも、人間ですから相性などもあるし、可愛いと思わなくてもいいのです。
きちんと育てているようですから、今のままで。
自分で自分の気持ちを受け入れるだけでも楽になると思います」

「トピの文に、女優という言葉が二度も出てきます。
こうあるべきというものに対し、演じている自分という区分けのようです。
母らしさにとらわれていませんか? 母性とはこういうものとか。
息子の幸せが保証されれば、いなくなっても構いません、とのこと。
これほど手間のかかる存在に対し、いなくなって欲しいではなく、あくまで、いなくなっても構いませんですし、本当にかわいく思えなかったら前段は付かないですよ。
主さんは十分親という役目をこなしているように見えます」

 これもよくわかる。育児書には、お母さん役の女性が笑顔でベビーカーを押していたり、ギリシア神話のなにかの女神のごとく慈愛に満ちた表情で赤ちゃんを抱っこしているようなイメージカットが差し込まれているので、自分も産めばそうなるのだと思っていたし、また、そうならなければ自分に何らかの欠陥があるのだと考えていた。でも正直子供と向き合っていても頭にくるときはあるし、顔も見たくないと思うときはある。

 さてトピ主レスが書き込まれた。

「まず『それだけやっているなら演技のままで問題ない。むしろ充分やっている』というご意見が多く、本当に目から鱗です。驚きしかありません。
やることはやっている自覚はあっても、中身のない最低な母親だと思っていました。というか今でも毎日思っています。
私は子供をかわいいと思えない優しさのない(ついでに動物も興味なし)、お金と損得でしか心がときめかない、心の貧しい狭量な人間なのです。
でも男の子なんていつか嫌でも勝手に離れるのだから、執着がないほうがむしろ良いという意見には、確かに!と納得しました。
私はおしゃべり好きですので、大きくなったら楽しくなるパターンは確かにありそうです。
次に『頑張りすぎて余裕がない。もっと手を抜いて』のご意見ですが、確かに楽しくもないのに対応するのは疲れます。
何人かの方がおっしゃってましたが、子どものレベルに合わせられなくて、童心にかえり遊ぶができないのです。
というか子どもの頃から思いっきり遊ぶことなどなく、大人びた考えをし、ろくでもない親の庇護下にいる子どもの不自由さを感じていました。
でも手を抜くと言っても会話や質問を無視するとなると息子の心が歪みそうだし、
『家事』はアウトソーシングなどで手を抜けるのはわかるのですが、
子育てはどう手を抜くのでしょうか??
本当にわからないので教えて下さい!」

 トピ主はかなりの真面目気質なのだろう。そういう立場に置かれればとことんベストを尽くすタイプなのか。確かに子育ての手の抜き方は、よくわからない。レスは続けて書き込まれた。トピ主がそのような気質なのは、自分のどこに原因があるのか見つめ始めて書き込まれたようだ。

「夫にも0歳から相談済みで、もっと手を抜いて僕のごはんなんか全部外食でもお惣菜でも構わないと言ってくれるのですが、料理するのが好きなのでお惣菜にしても負担は変わらないか、むしろ楽しみが減ってしまって逆効果だし、何よりやるべきことをやらない自分が許せないのです
私は沢山の『べき』に縛られています。
それは10年来気づいていても変えられないのです。
『べき』を破るほうが苦痛なのです。
色々アドバイスいただくうちに、この件に関係する根深そうな問題は
1自分の興味のあること好きなことが、損得勘定とお金とグルメしかない事
2実家での両親から愛情を感じられず辛い幼少期を送り、愛し愛されることがわからない事 だと感じます」

 まず1については、「例えば1万円の欲しいものを1000円で調達してくる方法、この100万を安全に損せずどうやって殖やせるかという方法、予約の取れないレストランを裏ルートで予約する方法、などを考え実行すること」が大好きなのだという。そして問題は2だ。

「何人かのご意見でもありましたがご名答で、
実家にはいい思い出が無く、
アルコール依存症父(診断済み)とヒステリー母(精神科通院)。
兄は40にもなって未だに一度も社会に出たことのない引きこもり。
愛情を感じないまま育ってきました。
ネグレクトなく大学まで出してくれたことは感謝していますが、
褒められたことも好きと言われた記憶もありません。
95点をとればあと5点は?
出来の悪いものは、どうせ俺の私の子供だから。
何を聞いても、わからない、私に聞かないで。
小学生の時ストレスで禿げたら心配どころか『気持ち悪い』
本当につらい幼少期でした。
結局私は両親のような愛のない育児しか出来ないのだ、と思っています。
自己啓発本にあるような、
当時の気持ちを渡さない架空の親への手紙として書いてみる、
嫌だったことをノートに記す、
誰か聞いてくれる人に洗いざらい話すなど(夫や親友に)はやりましたが、
過去を全く消化できません。
愛のない育児をされたものは愛のある育児を出来ないのでしょうか・・・?
同じ境遇だったけど、今自分の子供が可愛くて仕方ない方いらっしゃいますか?
私には受けてこなかったので、
親の愛情たるものが全く分かりません。
ただひたすら一人でも生き抜ける力をつけようと思ったら、こうなってしまいました」

 トピ主は愛情を受けたという認識がないので、愛情のかけ方がわからないのだという。これにも優しいコメントが多く寄せられた。

「そういうご自分を認めてあげましょう。
良いんですよ、そのままで。そのままのご自分を受け入れてあげれば良いじゃないですか。だって、替われないでしょ?
同じ愛を受けても、感じ方は子どもソレゾレなんです。お子様は女優のアナタから愛を感じるかもしれないし、感じないかもしれない。
トピ主様とお子様と同じ状況でも、同じ心持ちになるとは限りませんよ。人が違うのだから。
大丈夫ですよ。『息子の幸せが保証されるなら』と思えるなら。
子育てに自信持っている人なんて、怖いです」

「私の場合、親も兄弟も(親戚も)最悪でしたけど
友人に恵まれ、ほどよく良い大人に囲まれ、たくましく生きられました。
付き合った人やその親が、すごく愛情深い人だったことがあり
その数年で精神的にまともになれた気がします。
その後、結婚して生まれた子供は、かわいくて仕方がありません。
私の場合は、子供を可愛がることで、自分も癒しているようなところがあります。
だから、主さんは夫さんに甘えまくればいいのではないでしょうか?
『子供の楽しいところを楽しむ』ことができれば
お子さんを愛することも、ご自分を大切にすることも
かなうと思うのですが…。」

「私もあまり愛情のない家庭で育ちました。
四歳の男の子を育てていますが、年の離れた姉弟だというスタンスでいます。
あまり私は母親だからと思いすぎると疲れますから、この距離感が丁度良いのです。
後は小さい頃の自分に顔がそっくりなので、自分を育てているような感覚にもなります。
愛情をあまり感じられなかった幼少期をやり直しているような気持ちです。
もちろん子供は別人格なので
あまり自分を重ねるのは良くないかなと思いますが…。
あまりママっぽくないので最近は、さん付けで呼ばれたりします。とても可愛いです。
お子さんの幸せを思えるなら、愛情ありますよ!悩む事が愛情でもあるのではないでしょうか?」

 子育ては向き不向きがあるとは思う。ひょっとしたらトピ主は実は向いている方なのではないか。愛情が大きすぎてもそれがいつしか歪んで、変に期待をかけすぎて子供に過度なプレッシャーを与えたりということもある。さじ加減が難しいなぁと日々思うばかりである。

「以前テレビで見たのですが…”我が子をかわいいと思えない”という母親の悩みに対して発達心理学の有名な先生が言っていました。
『母性は本能ではありません』と。
だからこそ母親も一緒に育っていくのだと。
母親だから子供を無条件にかわいいと思えるわけじゃないんです。
焦らずゆっくりいきましょう」

 母性は本能ではない、ありがたい言葉だ。ほんとそうですよね〜。

最終更新:2018/05/21 07:15
ページ上部へ戻る

配給映画