『正義のセ』吉高由里子の“失敗しない推理力”がつまらない……今期「期待はずれドラマNO.1」なのに再び視聴率2ケタへ
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■親友の弁護士がアホ過ぎ
今週は「弁護士の親友と対立。凜々子は友情を取るのか? それとも正義を取るのか?」というのが物語の裏テーマとなっていました。しかし、これがまったく面白くない。結果からいうと凜々子はどっちも取るんです。「じゃあ、裏テーマにすんなよ!」と本気で怒鳴りたくなる。大体、人間というのは、挫折や失敗を繰り返して成長するものですが、凜々子は成功しか経験していなくて、怖いほど当たる推理力を発揮し、百発百中で事件を解決。挫折といえば、プライベートで彼氏と別れたぐらい……。ずいぶん、都合がいいですよね~。
これは原作にもいえるんですが、“主人公を格好良く描きすぎ”と感じています。『HERO』(フジテレビ系) では、木村拓也が演じる検事は被告が無実である事実を知り、自分のマイナス評価になるのを覚悟で裁判に負けるという話がありました。この話があったからこそ、面白かった。今回であれば、「被疑者の大学生は実は無実だったため凜々子が美咲に謝罪。また元の仲に」という風に、一度失敗を味わったほうが、凜々子に人間味を感じられるようになったかと思います。
また、美咲のほうですが、こちらもキャラ設定がひどい。凜々子と同い年なので、若手弁護士なんですが、浅田の保釈を凜々子に要求する際、私情が入り過ぎて激怒するんです。いくら若手だからといっても、普通に考えてこんな弁護士いますか? そして、こんな私情が入りこじらせちゃう弁護士ひとりに刑事事件を任せる弁護士事務所って……。
さすが、ご都合主義! 凜々子をヒーロー化するために、親友でさえも悪く描くとは、恐れ入りました。
■検事以外の描き方が甘い!
被疑者の浅田は大学生。1回目の取り調べの際、「オレオレ詐欺とは知らなかった」と反省の態度をみせ、真面目な大学生と凜々子は思うのですが、大学に聞き取りに行くと、それが嘘だと発覚。しかし、その理由が「別の生徒に代返を頼んでいたから」というもの。安易過ぎる(笑)。それだけでほぼクロと見るのはおかしいです。そんなの普通の大学生でもみんなやっていますよ。筆者は別の大学に通う友人の代返だってしたことがあります(笑)。あまり言い方は良くありませんが、「代返」というのは大学生の常識です。
同ドラマの脚本にかかわらず、原作でも言えるのですが、検事ものだからといって、検事については詳しく描かれているのですが、他の部分の下調べができていないのが玉に瑕。『あなたには帰る家がある』(TBS系)では、女性100人にアンケートを取りそれを参考にしているから、リアル感があって面白い。しかし、同ドラマはうわべだけで、「どうせドラマでしょ?」といった先入観を持って見てしまうため、つまらない。検事以外の細かい部分も詳しく調べて描けば、もう少し話は面白くなると思うのですが……。まあ、時間がないし、あと数話なので、時間がなくやらないでしょうし、視聴率は疑いたいほど良いのでするつもりもないでしょうね(笑)。
■「お仕事ドラマ」ってよりは「探偵ドラマ」になっている!
これまで全話を見てきましたが、凜々子の推理部分が多く、いつの間にか「探偵ドラマ」に。これまで掲げていた「痛快お仕事ドラマ」というキャッチフレーズがまったくの無意味になっています。
脚本家は一体何を参考に台本を書いているのでしょうか? 原作本、多分ですがパクリ具合からいって『HERO』は見ているでしょう。だた、本物の検事に焦点を当てたドキュメンタリーは見ていないのだろうなと感じました。
なぜかと言うと、あまりにもデスクワークが少なすぎるからです。『HERO』ではよく現場や関係者に聞き込みに行っていましたが、ドキュメンタリーをみると、実はデスクワークの方が多く違いにびっくりします。原作は、デスクワークが少ないのかもしれませんが、それは小説だから。面白い部分を膨らませるために地味な部分は少なくしているのでしょう。しかし、「お仕事ドラマ」と言うのであれば、現実の検事の仕事内容と同じように描いてくれないと。推理(それも薄っぺらい)ばかりだと、推理ドラマの『相棒』『特捜9』(ともにテレビ朝日系)と違いがわかりません。いっそ『名検事・凜々子の事件簿』『検事局港南支部の女』という、どこかからパクってきたような題名に変えて、シリーズ化したほうがご長寿ドラマになっていいかもしれませんね。
以上、6話のレビューでした。
次回は、保育園での事故がテーマ。予告を見る限り、相原が取り調べで男泣きということで、凜々子以外の人物にも見せ場があるようです。相原演じる安田顕は演技力に定評がありますから、これだけは期待してもよいかも!? ではでは、次回の放送も楽しみに待ちましょう!
(文=どらまっ子KOROちゃん)
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