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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『孤独のグルメ』銀ダラは鱈ではない?

銀ダラは実は「鱈」ではない?『孤独のグルメ』“名無しの権兵衛さん”は生で食べたら危険な海藻……

■刺身のツマ・オゴノリは生で食べたら危険

 そして「お刺み」。マグロ赤身3切れと、細長く切った短冊のイカ刺し。煮付け(1,300円)に+150円で付いてくるとは思えないクオリティ。

 刺身のツマの緑の細長い海藻を好いている五郎は「やるじゃないの、名無しの権兵衛さん」と改めて評価。この海藻はおそらくオゴノリで、実は東京湾でも潮干狩りの際に普通に採れたりするのだが、生のものをそのまま食べると嘔吐や意識低下の末、亡くなることのあるので要注意。もちろん市販のものは湯でたり、石灰処理を行っているので安全だ。

 小鉢も手を抜かず、マグロをあっさり煮たフレーク状のもので、「マグロの連打」。

 豆腐の味噌汁。「魚が上手い店は100パーセント、味噌汁も美味い」とすすっていたが、やはり出汁がちゃんとしてるのだろう。

 たくわん付いて、味噌汁付いて、小鉢付いて、あげくコーヒーまで付いてくる。五郎いわく「つきまくり」。

 別注の沖縄産生もずくは酢の物ではなくしゃきしゃきした歯ごたえで、「アシストを超えた戦力」。これでも白米をわしわし食べる。

 

■3杯目はタレだけで

 とにかくこの漆黒の煮付けに骨抜きにされた五郎は「まだ美味い。うまさが衰えない。この店、リピート確実」「これのためだけに浦安に来る価値がある」と大絶賛。年間パスポートがあれば買う勢い。

「大将が毎日河岸に足を運び、長い歳月をかけて出来上がった煮付け。この銀ダラは大将が掘り当て、磨き上げた黒い宝石だ」

 最大の賛辞を贈り、大団円かと思いきや、残った黒光りするタレに目に止まる……。禁断のご飯有料おかわりに突入!

 タレの残る平皿に飯を落とし、混ぜこねる。前々回の群馬・下仁田で豚すき焼きの残り汁を使い卵かけご飯を食したのに通じる、最低にして最高の禁じ手。

「ご飯が美味しさの黒いマントを羽織っていく」こういう作業をしてる時の五郎、いや全ての大人は実に悪い笑顔になる。一口食って「ほーら来ちゃったよ! 文句なしの美味さだ!」と賭けに勝った喜びを噛み締める五郎。もはや箸でなくスプーンで掻き込む「銀ダラ残り汁絡め飯」(命名・五郎)。見た目はイカスミのリゾットのよう。

「たっぷりの旨味とコクとちょい苦味が混ざったこの味は完璧な美味さの黄金比」

 こんな感想を聞けば聞くほど、おかわりに制限あることに納得してしまう。それくらい「食わせて」しまう味なのだろう。

 

■謎の友人・滝山

 コーヒーを飲み店を出た五郎は「今度、滝山にも教えてやろう」と満足げ。

 滝山とは原作1巻・6話「ひかり55号のシュウマイ弁当」で2コマだけ登場した五郎の友人。この時は新刊線のお供にシュウマイ弁当の購入を勧めるも、五郎は瞬間で温まるタイプ(ジェット)を購入してしまい、車内で匂いが充満し顰蹙を買ってしまうという事件が起きた。

 ドラマ化されてからも滝山は『Season2』の9話で声だけ登場(声=テレ東の植草朋樹アナ・ふらっとQUSUMIナレーターも担当)したが、『Season4』の9話でついに実写化。待ち合わせに遅刻してきながらも五郎に上客を紹介し、それも自らがバカンスへ旅立つためという憎めない悪友ぶりを村田雄浩が演じた。

『Season5』の8話でも、登場しないが手紙で五郎にどっきりを仕掛けるなど、ほとんど顔を見せないのに名物キャラとして認知されている。

 この「滝山」のモデルは、原作者・久住昌之の盟友・滝本淳助(ヒカシューのジャケット写真撮った人)であるとの説がある。共著『タキモトの世界』(太田出版)や『タモリ倶楽部 東京トワイライトゾーン』(日之出出版)での共闘ぶりを見ていると、あり得なくもないと思うが、身近な仲間の名前をもじっただけのような気もするし、真相が気になる。

 そして、久住が同店を訪ねる「ふらっとQUSUMI」のコーナー。鯖の塩焼きも美味そうだったが、主人の持って来た銀ダラ煮付けを食べるなり「うわ! うんまい! これはみんな食べるのわかるわ! 参った」と久住も脱帽。鯖塩の時と久住のリアクションが違いすぎて笑ってしまった。

 最後に明かされたのが「羅甸」の読み方。「らてん」と読み、ラテンアメリカの「ラテン」の当て字で、店主ご夫妻がラテンダンスをやっていたのがその由来だという。次回は「墨田区東向島の納豆のピザと辛いパスタ」。
(文=柿田太郎)

最終更新:2018/05/18 22:30
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