銀ダラは実は「鱈」ではない?『孤独のグルメ』“名無しの権兵衛さん”は生で食べたら危険な海藻……
#ドラマ #テレビ東京 #松重豊 #どらまっ子 #柿田太郎 #孤独のグルメSeason7
金曜深夜のバーチャル食事ショー『孤独のグルメSeason7』(テレビ東京系)。今回は、ディスニーランドなどのあるエリアを埋め立てるまで漁師町として栄えた浦安。今もその名残が強く息づく街で、クセの強い魚料理が登場。「第六話 千葉県浦安市の真っ黒な銀だらの煮付定食」。
(前回までのレビューはこちらから)
■まるで石炭のよう
雨の浦安。三番瀬に注ぐ細い川沿いを行く井之頭五郎(松重豊)は「都会の川でも、川は川」と、今日も街歩きしながら商談へ。
目的地のペットホテルに着くが誰も出てこないので、ケージの中に入り犬をあやすも、悪いタイミングで店長(ふかわりょう)が戻ってきてしまい、子犬をあやすひょっとこ顔→驚きの形相と顔芸二連打。松重の顔芸は、いつだって楽しい。
商談中から、すでにランチに向かう従業員の様子を観察していたぬかりのない五郎は終了後、すぐに飲食店探し。浦安では、『Season1』の4話で静岡おでんを食べているのだが、特に言及することはなし。五郎は過去の店を再訪しないのかが気になる(おでんを食べたカフェは今は閉店している)。
猫実川沿いに、一見スナックっぽい外観の店を発見。「お食事所 魚や 羅甸」とあるが「らしゅん?」読めないまま入店。
大きな短冊に書かれたメニューが壁にずらり。
「鯵の南蛮漬 お刺みを付けて 1250」
「いかの生姜焼き お刺みを付けて 1350」
「鰆(さわら)の西京焼き 1200 お刺み付けて 1350」などなど。
「お刺身付き」ではなく「お刺みを付けて」という言い回しに血の通ったものを感じる。「色っぽいじゃないか」と五郎もお気に入り。「み」が平仮名なのもいい。
煮魚気分の五郎は「鯖の味噌煮」か「銀ダラの煮付け」の二択で悩み、「すみません『銀ダラの煮付け お刺み付けて』をお願いします」と律儀にメニュー通り注文。1,450円。「沖縄産生もずく」も追加。
ご飯おかわり「三杯目から有料」という張り紙を見て「客のご飯おかわり率が尋常じゃなく高いと読み取れる。これは期待大」とボルテージを上げる名探偵・井の頭。
隣の席の鯖味噌があまりに美味そうなので判断を誤ったかと後悔しかけるも、出てきた銀ダラのインパクトで全てが吹き飛ぶ。吸い込まれそうなほどに黒いのだ。
思わず「これ銀ダラですか?」と尋ねちゃう五郎。
「ええ。見た目は黒いですけど、正真正銘、銀ダラです。ふふふ」おかみさんが意味ありげに微笑む。みな驚くのだろう。
普通の煮付けは茶色だし、形も切り身だが、この煮付けは全て違う。異様なほど照りを伴って黒光りし、形も無骨で、黙って出されたら銀ダラどころか魚であることすら見破れない自信がある。見れば見るほど石炭の如し。
■「銀ダラ」は鱈とは違う魚
しかし一口食べて五郎はすぐさま病みつきに。
「確かに銀ダラだ。だが俺の知ってる銀ダラとは全然違う。ふわふわ。こんなの初めて」
「中は真っ白。巨大な岩山を採掘してるみたいだ」
砂糖と醤油で味付けしているらしいのだが(本物の店主談)、素材が違うのか調理法に秘密があるのか、煮付けというより巨大な佃煮のようにも見える。
とにかくこれが大当たりであると確信した五郎は「鯖味噌が美味いと知りながら、あえて銀ダラを選んだ自分を褒めたい」とアトランタ五輪の有森裕子のように勝ち誇る。実は客の8割が銀ダラ目当てらしく、見事な五郎の嗅覚。
「銀ダラ銀シャリ銀ダラ銀シャリ……銀のラリーが止まらない」『銀』に侵された五郎は「箸が止まらない。アイキャンストップラビングユー、銀ダラに首ったけ」と、ついに煮魚に告白。レイ・チャールズもびっくり。銀シャリもお代わり。
ちなみに「銀ダラ」というのは真鱈(まだら)やスケトウダラとは全く違う魚で、どちらかというとアイナメに近く、いわば鱈の代用魚。脂が強くて嫌われていたが、むしろ最近はその脂のおかげで人気になった例のパターン。「ムツ」に対しての「銀ムツ=メロ(マジェランアイナメ)やメルルーサ」などと同じ構図だが、この銀ダラはムツの代用品であったこともあるからややこしい。
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