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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『ブラックペアン』日曜劇場の功罪

嵐・二宮和也『ブラックペアン』13.1%と2ケタキープ……「面白くない話を面白く作る」日曜劇場の功罪

TBS系ドラマ『ブラックペアン』公式サイトより

 日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)も第4話。視聴率は13.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2ケタをキープしているものの、伸び悩んでいるようです。ここまで見てきた印象としては、なんだか「面白くない話を面白く作るのが上手いなぁ」という感じ。では、振り返りましょう。

前回のレビューはこちらから

■第4話にして、早くもマンネリ感しかない

 

 その「面白くない話を面白く」の顕著な例だったのが、前回の第3話でした。ストーリーはほとんど語らず、手術シーンだけで、ひたすら孤高の天才外科医・渡海(二宮和也)の天才ぶりを見せる。医療ドラマはおのずと命のやり取りになるのでテンションも上がりますし、福澤克雄監督率いる福澤組の日曜劇場は、こうしたバトルアクションに熱を込めるのがすごく上手い。前作『陸王』のレースシーンもそうでした。

 しかし、『陸王』はまだしも今回の『ブラックペアン』は、いくら「面白く」しても面白くない話なので、バトルシーン以外では著しくテンションが下がります。孤高の天才・渡海は今回も元気に悪態をついていましたが、毎回やってることは同じなので「ハイハイ、今回も結局助けるんでしょ?」という感じ。案の定、周囲のヘッポコ医者では手も足も出ない難しい手術をパパッとこなして一件落着。4回も同じ展開を見せられるとマンネリ感しかありませんし、渡海の「一旦『やらない』と言ってからやる」パターンも、繰り返すたびにキャラクターから深みを奪っていきます。最初は「何か深い理由があって固辞しているのであろう」と感じていましたが、今回あたりでは「またニノが駄々こねてる~」としか思えない。

 渡海と対立する構図にある高階講師(小泉孝太郎)もまた、同じ場所をぐるぐると回り続けています。「スナイプ」なるニューマシンによる「誰にでもできる手術」を標榜し、「医師に技術が必要ない時代が来る」というメッセージとともに登場したものの、第1話で早くも渡海の技術に助けられてそのメッセージの強度を失うと、こちらも毎回「私が執刀します→できないよ渡海さん助けて」の無限ループ。そのたびに渡海や、医局のボスである“神の手”佐伯教授(内野聖陽)に「ね、医者には腕も必要でしょ?」的な指摘を浴びせられて「ぐぬぬ」となるばかり。この高階の設定は「スナイプを導入する人」という以外は、ほとんど原作から離れたオリジナルなんですが、いまいち地に足がついていないので捉えどころがありません。

 また、完全にドラマオリジナルとして導入された理事長選の行方とインパクトファクター云々のくだりも、それを争う佐伯教授と西崎教授(市川猿之助)が理事長になって何がしたいのか、金や権力が欲しいだけなのか、何か医療の理想みたいなものがあるのか、そこらへんがハッキリしないので共感できません。

 先ほど「『陸王』はまだしも」と書きましたが、『陸王』や『下町ロケット』(同、2015年)は、彼らが何に対して本気なのかがすごくわかりやすく描かれていました。しかし『ブラックペアン』は誰も彼もが「何に本気なのか」がよくわからない。渡海も高階も佐伯も「患者を救うこと」にすら不誠実な場面が出てくるので、どこに軸を置いて見たらいいのか、よくわからないのです。

 唯一、何がしたいのか理解しやすいのが治験コーディネーター・香織(加藤綾子)で、この人は利益を生む有能な医者の間を行ったり来たりしながら金儲けをすることに本気であることが伝わってくるし、ちょうどいい美貌と、真意を読みにくい棒読みセリフも役によく合っているように見えるんですが、あんまり評判よくないみたいね。

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