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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 月9パロディで“嫌われフジ”脱却へ!?

『コンフィデンスマンJP』もう”パクリばかり”と言わせない! 脱“嫌われフジ”の鍵を握るパロディ演出

■フジ、格好つけたパクリから体当たりのパロディへの路線変更?

 2017年度のフジテレビのドラマの手法は、ヒット作品の手法と似通ることが多かった。例えば『コード・ブルー』。第3シーズンから取り入れた、冒頭と終盤で登場人物が心情を吐露するナレーション。これは、海外の医療ドラマ『グレイズ・アナトミー』でも丸っきり同じ手法が使われていた。また、地方政治を描いた『民衆の敵』でも、政治の世界を描いた『ハウス・オブ・カード』と同じ、カメラ目線で視聴者に語り掛ける手法が使われていた。

 たまたま似通っただけなのか、パクリなのかは断言できない。しかし、後者だとすれば、同ジャンルのドラマの手法を流用してしまう図々しさに絶句してしまう。

 しかし、ギャグとしてのパロディなら好感が持てる。本作の第5話では、新琉が名ドクターであることを『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)のパロディで紹介。医者が並び歩く場面を『ドクターX』(テレビ朝日系)と同じカメラワークとBGMで演出した。堂々とパクってしまえば、笑えてしまう。

『コード・ブルー』と『民衆の敵』が、ホリエモンなどの起業家の言葉をさも自分の発言のように語る意識高い系のイタい就活生だとすれば、『コンフィデンスマンJP』は忘年会でサンシャイン池崎などに扮して職場を明るくする企業戦士。

 どちらが好きかは人それぞれだが、昨年のフジテレビより今年のフジテレビの方が、プライドを捨てた体当たりなドラマ作りをしていて、好感が持てる。

■『コンフィデンスマンJP』は、“フジテレビ好感度上昇”の鍵となるか?

 前述した、パクリとパロディの違いは、サービス精神の有無にあると思う。

 前者は、「どうせ多くの視聴者は海外ドラマなど見ていない」という開き直りから起きる。

 たとえ、海外ドラマをリスペクトしたオマージュであっても、我が物顔でオリジナルかのように流用すれば、本家のファンは良い気分はしない。結局、視聴者への誠意が足りない。

 一方、他局のヒット作品のパロディは、本家のファンからも愛されるように作られていた。

『モテキ』(テレビ東京系)であれば、岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のロケ地をデートする回で、同映画の名シーンを再現。『打ち上げ花火~』のアニメ映画でのリメイクの際は、モテキの監督・大根仁が脚本家として起用されたほどだ。

『逃げるは恥だが役に立つ』も、『情熱大陸』や『ザ・ベストテン』(いずれもTBS系)など誰もが知る番組を、一目でパロディだとわかるように堂々と演出されていた。

『モテキ』も『逃げ恥』もネタ元への敬意と視聴者を楽しませる誠意を感じる。そのサービス精神があるから、放送枠と局のブランド価値まで高める作品となったのだろう。

『コンフィデンスマンJP』もまた、視聴者を楽しませようとする姿勢が感じ取れる。それは、若者の流行や憧れを物語に投影させて人気を博した90年代前半のトレンディドラマに通じるものだ。恰好をつけず、楽しませることに全力投球な制作姿勢。古き良きフジテレビの精神が受け継がれている。

 5話の平均視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、前回から0.1ポイント増だった。3週連続で上昇しているのは、本作がフジテレビに求められる役割を全うしているからなのかもしれない。

『コンフィデンスマンJP』を皮切りに、フジテレビは愛されるテレビ局に生まれ変われるのか? 第6話「古代遺跡編」も、楽しみにしたい。

(文=許婚亭ちん宝)

最終更新:2018/05/14 19:30
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