『モンテ・クリスト伯』森友問題に仮想通貨暴落、視線入力まで登場! それでいて中身のドロドロは“現代の大映ドラマ”か
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■伊武雅人の目力が凄い
入間公平の長女で大学院生の未蘭(岸井ゆきの/原作でのヴァランティーヌに相当)は親の決めた外務官僚の出口文矢(尾上寛之/原作でのフランツ・デネピーに相当)との結婚に抵抗するが、公平は自分の出世のために押し切ろうとする。公平の父である入間貞吉(伊武雅刀)は寝たきりで意識レベルが極めて低いように見えるため、雑に報告し、了承をとったことにする公平。
しかし、未蘭を溺愛する貞吉は未蘭が出口と結婚した場合、30億の資産を公平、未蘭、瑛人(公平と現妻の間の子・未蘭は前妻との子)の3人には相続せず、文化財団に寄付すると公平を脅す。
手も口も動かせない貞吉だが、視線で文字を操るパソコンで会話が可能だったのだ。
「ワタシノ遺産カミランノ結婚カドチラカエラベ、コウヘイ!」と機械に読み上げさせ、公平を睨みつける貞吉。伊武雅人の不気味さがよく出てるシーンだ。
この騒動の最中、未蘭は海洋生物の研究を兼ねて訪れた魚市場で、守尾水産で働く守尾信一朗(高杉真宙)と出会い、惹かれ合っており、この時信一朗から借りて未蘭が着ていた守尾水産のパーカーを貞吉が意味ありげに見つめていたのが気になる。
かつて守尾水産の船長をしていたバラジという男と貞吉はテロ組織を通じてつながっているはずで、真海(紫門暖)が投獄されるきっかけでもあるからだ。
■すみれはやはり暖に気付いている?
前回、真海宅で開いたパーティに南条の妻で料理研究家のすみれ(山本美月)だけは呼ばなかったように、今回もかつての妻・すみれと接触しないようにする真海。すみれは会いたそうなのだが、真海は意図的に避けているようだ。
前回、娘に星の話をしたり(真海がかつて星を頼りに船を操縦していた)行けなかったパーティの差し入れにオレンジのケーキを作ったり(真海が暖としてすみれと付き合っていたころオレンジを齧って食べていた)そのケーキを作りながら「愛は勝つ」を口ずさんでいた(2人の結婚式やプロポーズ時の思い出の曲)ことから、すみれは真海を暖だと気付いているか、少なくとも面影に親近感を抱いているはずで、今回も真海がらみの会話で思わせぶりな表情を見せていた。
南条のマネジャーで、すみれのマネジャー的な存在でもある江田愛梨(桜井ユキ)はどこかすみれをライバル視してるようにも見える。真海に片思いしている感は見受けられるが、真海の復讐を手伝う利害関係はまだ明らかにされていない。
■南条は過去に香港マフィアとつながりが
国有地取引においてライバル側(五蓉不動産)に付いた南条幸男が気に食わない神楽に、真海が仕掛ける。南条が香港時代に非合法組織と繋がっていたようだと、それとなく神楽に吹き込み、神楽は南条の弱みを見つけようと香港に秘書を送り込み調べだす。そもそも五蓉のCMを南条に持ってきたのもマネジャーの江田だから当然、江田を操作している真海が裏で手を回したのだろう。
香港の非合法組織は「ヴァンパ」というらしく、原作では山賊の親玉を殺し、その親玉に座った元・羊飼いの少年の名がルイジ・ヴァンパで、殺された先代の親玉の名がククメットである。ククメットは真海と繋がりがあるとでっちあげられたテロ組織の名前に使われており、今回も個人名ではなく、組織名として流用されている。
■最新の話題をうまくはめ込む
今回、森友問題や仮想通貨、視線でのパソコン操作など、最新の話題が盛り込まれていた。原作ではもちろん仮想通貨ではなく、スペインの株が暴落したと嘘をつき大損をさせたり、パソコンではなく、目で合図して意思の疎通を図ったりしているのだが、最新の話題やガジェットとあざとく入れることで古典に血を通わせ、現代の日本にうまく落とし込んでいる印象を強めた。このあたりは、古典を翻案にしたドラマならではの楽しませ方だろう。このドラマが当たれば、今後こういった「翻訳」ものが増えるかもしれない。
真海の復讐はただ殺すとか脅すのではなく、かつての共犯同士を憎ませあってこじらせたり、身内同士を憎ませたり、内部から破壊させ、逃げ場を失わせていくのがえぐい。
まったく違うのだが、ここにきて口コミで評判が上がってきているのは、このドロドロ具合にどこかかつての大映ドラマのような懐かしさがあるからだろうか。次回の展開が楽しみだ。
(文=どらまっ子HARUちゃん)
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