松ケン、蒼井優の投入は映画化への布石なのか!? リーマン地獄門編に突入『宮本から君へ』第5話
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宮本がひとり暮らしを始めたのは、ドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京系)や人気グルメ漫画『孤独のグルメ』(扶桑社)ですっかり有名になった赤羽にある木造アパートでした。山田孝之が役者バカ人生を見つめ直したように、宮本も赤羽から人生を再起動させるのでした。会社でも新しい仕事が待っていました。先輩営業マンの神保(松山ケンイチ)が1カ月後に退職することになり、神保が担当していた老舗の問屋を引き継ぐことになったのです。神保はかなり仕事ができる男です。取り引き担当の安達(高橋和也)に名前を呼んでもらえるようになるまで、何度も何種類も名刺を渡し続けたという伝説の持ち主です。安達の名刺入れは、名前を覚えてもらうために工夫されたさまざまな神保の名刺が収まっていました。両者ともに名刺交換にただならぬこだわりを持っていることがうかがえます。
問屋の休憩室にて、神保が宮本に営業スマイルのダメ出しをしていると、そこに現われたのは大手文具メーカーに勤務する益戸(浅香航大)でした。あいさつ代わりに、宮本へ接待ゴルフ先で購入したお土産のお菓子を差し出します。せっかくのご好意だからと手を伸ばす宮本に、神保は「宮本、考えろよ~」と笑顔で熟考を促すのでした。好きでもないのに接待目的でゴルフを始めた男が、会社の経費で購入したお菓子(梅ケーキ)を安易に口にしていいのかと。たかが梅ケーキ、されど梅ケーキです。休憩室にサァ~ッと緊張感が走ります。
大手メーカーの名前を使って要領よく仕事をする営業マンを見習うのか、それとも一人ひとりと地道にコミュニケーションしながら信頼関係を築いて仕事を取る営業マンになるのか。梅ケーキを前にして、宮本は今後の人生の大きな選択を迫られるのでした。
夭折した天才棋士の生涯を描いた『聖の青春』(16年)など、徹底した役づくりで知られる松山ケンイチですが、今回のような飄々とした、でも胸の奥に熱いものを秘めたリーマン役もいいじゃないですか。主演の池松を立てて一歩引いた芝居が、先輩俳優らしい風格さえ感じさせます。一方の益戸役の浅香航大は元ジャニーズですが、NHK朝ドラ『ひよっこ』の売れない漫画家役などでキャリアを積んできた若手実力派です。自分が何者であるかに悩んでいた宮本は、仕事のできる先輩やライバルの登場によって、自分の立ち位置を客観的に知ることになるわけです。ここからようやく『宮本から君へ』のメインストーリーが始まるのです。
次回からは宮本にとって“運命の女”となる中野靖子(蒼井優)がついに登場。第6話にして、ようやくメインキャストが揃います。失恋の後、長い長い夜を過ごしていた宮本ですが、もうすぐ新しい夜明けが訪れそうです。
(文=長野辰次)
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