伏線多すぎなのに、結局何もわからない! パニックホラーの最高峰『ドラゴンヘッド』とは?
#マンガ #コミック #ザオリク的マンガ読み
■原因は富士山の噴火なのか、そうでないのか? どっちなんだコノヤロー!
度重なる大地震、そして津波、倒壊する建物、降り注ぐ灰と泥流、空に立ち込める黒雲、落雷、火災旋風など、災害という災害が次から次へと襲いかかってくる『ドラゴンヘッド』ですが、どうやら富士山の噴火が原因らしい、という描写がチラホラ出てきます。
しかし、富士山自体も噴火の威力で丸ごと消し飛んでしまっており、日本列島の半分近くが海に沈み、壊滅状態……などなど、明らかに富士山の噴火だけが原因ではないレベルの大災害で、核兵器の使用か、はたまた巨大隕石の影響なのか、もしくはそれ以外の人為的な何かが原因なのか、といろいろなことを想像させます。「放射性物質マーク」「葛飾北斎の絵」「木花咲耶姫命」「SSRI-EX」みたいな意味深なキーワードの伏線がたくさん出てくるのですが、まともな説明は一切なし。やはり徹底的に核心には触れてくれない作品です。
■結局、何が言いたかったのか?
本作品はリアルタイムでは途中から隔週連載になったり休載が多かったこともあり、なかなかストーリーを追うことができず、単行本で初めてラストを知った人も多いのではないかと思います。実際、僕もその一人です。終始ハラハラドキドキで、あっという間に読み進められる作品なのですが、全10巻のうち9巻まで読んで、実はなんにも謎が判明していないことに気づき、読んでいるこっちが焦り始めます。そういう意味でも、ホラーです。
「あと残り1巻で、これどうやって収拾つけるの?」と思っていたら、9巻の半分ぐらいを過ぎてから、たたみ込むような説明セリフで文字数が激増。あれよあれよという間にラストシーンへ、えーこういうラストなの! なんかわかったような、わかんないような……こんなんアリ!? という感じの終わり方をします。
ドラゴンヘッドとは結局なんだったのか……に関する考察はネットでも諸説あり、筋の通った考察も多数出ておりますが、本当の答えは望月先生のみぞ知るといったところでしょうか。
人間の心に宿る「恐怖」という感情の深層に迫る大傑作なのか、単にオチを放り出しただけの問題作なのか、賛否両論の『ドラゴンヘッド』ですが、伏線を回収しようが回収しまいが、面白いものは面白いということを証明した作品でもあります。世の中にはマンガがあふれてるから、こういうマンガがひとつぐらいあってもいいかもしれませんね。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)
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