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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『ブラックペアン』“闇医者”の可愛げ

嵐・二宮和也『ブラックペアン』“闇医者”の可愛げと“バトルシーン”の充実ぶり

TBS系ドラマ『ブラックペアン』公式サイトより

 嵐・二宮和也が、いかにもマンガチックな闇医者っぽい天才勤務医を演じている日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)。GW最終日に放送された第3話の視聴率は12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、好調をキープしつつもじりじりと下げ続けています。

 元フジテレビアナウンサーの加藤綾子が扮する「治験コーディネーター」なる職業の人が、「実際の職業とあまりにもかけ離れている」などとして日本臨床薬理学会から抗議が届いたり、いろいろ騒がしいようですが、今回も振り返ってみましょう。

前回のレビューはこちらから

 

■完全に「ニノのためのドラマ」になりました。

 前回までのレビューでも申し上げております通り、このドラマ版『ブラックペアン』は原作を大きく逸脱しています。ニノ演じる天才外科医・渡海征司郎と医局で双璧をなすはずだった高階講師(小泉孝太郎)は権力にかしずくだけのビビり野郎と化し、その高階による「スナイプ手術」も原作では成功続きで医局を席巻していたはずが、2例やって2例失敗というポンコツぶり。さらに、渡海当人も手術の見返りに平気で同僚から金をむしり取るなど、キャラが原作より露悪化されておりますし、たった2話で原作の半分まで消化してしまった展開にも拙速さを感じていました。

 それもこれも、ジャニーズタレントであるニノを目立たせて、見せ場をたくさん与えるための施策です。いささか強引ともいえる原作改変によって、群像劇の中の1人でしかなかった渡海という医師を主人公に仕立て上げることにしたわけです。

 こうした“ジャニーズ上げ”のための脚本は、これも前回のレビューで指摘しましたが、前クールのキムタク主演『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)でも見られました。主人公であるキムタクを引き立たせるために周囲の人間を必要以上のバカとして描いた結果、物語そのものが破綻してしまった。見るに堪えないドラマがお茶の間に放送されてしまった。

 しかし、そうした“ジャニーズ上げ”が全部ダメだと言いたいわけではありません。『BG』がダメだったのは、“ジャニーズ上げ”をやろうとして失敗したことにより、キムタクすら魅力的でなくなってしまったからです。

 ひるがえって。

 終始“ニノ上げ”の『ブラックペアン』ですが、第3話にして、これは成功しているぞ、と感じました。ニノが、ちゃんと上がってるのです。

 

■“ニノ=闇医者”のギャップが、かわゆい。

 何しろ、クールに振る舞い、ひどい言動を繰り返すニノが、かわいいのです。頭を「よしよし」してあげたくなるのです。手術を成功させた渡海に「えらいぞー!」とか言ってアメとか買ってあげて、「うるせーよ」とか「いらねーよ」とか言われたい。そんで、部屋でこっそりアメちゃん舐めてるニノを物陰から眺めたい。そんな感じ。

 第3話は、ほぼ手術のシーンで占められていました。2人の手術を同時に行うことになった渡海、どうやってもそんなの、成功しそうにありません。

 医療ドラマにおける手術を、この『ブラックペアン』は時代劇の殺陣や、スポーツドラマの試合のように扱います。特に今回は、実に正しく「バトルもの」のドラマになっていたのです。

 渡海は、誰もが勝てないと感じる敵(この場合は病巣)に対し、知恵を尽くした機転と卓越した手技で立ち向かいます。みんな諦めちゃって、どうしようもないと途方にくれているのに、渡海だけが「やれる」と信じて、それをやり遂げる。勝ってみせる。

 このバトルシーンを盛り上げたのが、『ブラックペアン』の実に周到なバトル設定の明示です。

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