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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 舞台の創り手がみる「ガチ恋ファン」
小説化記念インタビュー

舞台『りさ子のガチ恋▽俳優沼』脚本&演出家・松澤くれは氏に聞いた、創り手サイドからみた「ガチ恋ファン」って――!?<後編>

■「誰かを応援するってすごいエネルギー」

 

――ちなみに、演劇に携わる立場からみて、「ガチ恋ファン」ってどう思われますか?

松澤 人を想う気持ちは、誰にも止められないし、りさ子も言っていたように、“愛は誰にも否定できない”。だから、やっぱり僕は「ファン」ってすごいなって思います。凄まじいエネルギーじゃないですか。それこそ、毎公演何をするにも遠くから、何回でも足を運んでくださいますし、“見に来てくれる”っていうこと自体が有難いです。

 ファンって本当にすごい存在だなって。誰かを応援する力ってすごいと思うんですよね。だから僕はその「力」を尊敬するし、信じる。なくてはならないものです。僕は、ファンの方はなるべく覚えたいなと思っているので、積極的に「認知」をしてコミュニケーションを取っていきたいですね。

――松澤さんが「ガチ恋」的に一途になれるものは? やはり「演劇」でしょうか……?

松澤 そうですね。「ガチ恋」というわけではありませんが、ある人への「憧れ」がすごく強くて。その人っていう“目標”を定めてこれまで活動してきました。その人が、すごいことをすると、嬉しい反面、焦るんです。「あ、やばい。一生追いつけない」って。だから、「永遠の目標」に少しでも近づけるような、認められるものを創りたいです。

 ちなみに、僕の創作の目標は、芥川賞作家の中村文則さんなんです。あの方のように、言葉で世界を変えたいんです。だけど、どんどん離される……。でも、「小説を出します」ってお伝えしたら、喜んでくださって。

――では、松澤さんの原動力は、そこに?

松澤 そうですね。23歳のときに、中村さんに芝居見てもらって、「才能あるよ」って言われたことを思い出し自分を鼓舞しながらここまでやってきました。“今の自分が信じられなくても、自分がすごいと思った人の言葉だけは信じよう”と誓いながら。

 先日、「あのときに『才能ある』って言ってくださったから、これ(小説)を出せました」と報告できました。

 あとはやっぱり、ファンの方たちですね。「面白い」「他の作品と違う」って言ってくださるんですよ、もっと人気のある作品はいっぱいあるのに。「僕の芝居見てくれてありがとう」と、感謝の気持ちが強いです。

 

■「人と人とのつながりをたくさん描きたい」

 

――今回は、「ガチ恋ファン」がテーマでしたが、今後書いてみたいテーマはありますか?

松澤 人間関係を描くのが好きなので、「俳優とファン」にはとらわれずに、パッと見「一方通行なのかな?」と感じる関係性は、今後も書くと思います。

 それこそ、この作品の答えになってしまうかもしれませんが、僕は俳優とファンって別に一方通行の関係ではないと思うんです。でも、普通の“双方向”とは違う。だから、僕自身でその複雑な関係性について掘り下げてみたくてこの作品が生まれました。

 他にも、「この立場とこの立場の人」といったように、人と人とのつながりをたくさん描いていきたいです。元々は小説家になりたかったんですが、いつの間にか演劇をやっていて、それを生業にしてきたので、これからは「二足のわらじ」で頑張っていきます!

――最後になりますが、ファンの皆さんにメッセージをお願いいたします。

松澤 ファンの皆さんがSNSで発信して話題にしてくださったおかげで今がありますし、舞台の上演から半年以上たった今でも、まだ『りさ子』という作品が生き生きしています。

「楽しんでくれて、話題にしてくれて、あなたの感想を聞かせてくれて、本当にありがとうございます」と、感謝の気持ちです。舞台を発表したら、皆さんからそれ以上のものをいただきました。なので、この小説はそのお礼です。またぜひ感想を聞かせてください!

 これから作品に興味持ってくださる方は、「はじめまして!」「ようこそ!」という気持ちです。僕は、「作品を与える」とか「見せる」っていう意識はなくて、「とりあえず新しい作品を発表したから、リアクション下さい」っていうスタンスなんです。作品に触れてくれたのなら、「じゃあ、とりあえず話そっか」みたいな(笑)。

 舞台DVDからでも、小説からでも、どちらから入っても楽しんでいただける作品になっていると思うので、どんどん感想を聞かせてください! 劇場にも来てね! 待ってます!
(取材・文=編集部)

●松澤くれは
1986年富山県生まれ。早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。演劇ユニット「火遊び」代表。舞台脚本家・演出家として、オリジナル作品をはじめ人気小説の舞台化を数多く手がける。『りさ子のガチ恋▽俳優沼』で小説家デビュー。

『りさ子のガチ恋▽俳優沼』(集英社文庫) 定価:700円+税 文庫版/384ページ 装画:majocco 装丁:西野史奈(テラエンジン)

■集英社文庫『りさ子のガチ恋▽俳優沼』特設サイト
http://bunko.shueisha.co.jp/risako

☆作中作品『政権☆伝説』特設サイト
http://bunko.shueisha.co.jp/seiken_stage

■舞台版『りさ子のガチ恋▽俳優沼』公式サイト
http://www.finepromotion.co.jp/gachi/

■松澤くれは 脚本・演出舞台
オフィス上の空プロデュース 火遊びpray.08
「焔の命──女優の卵がテロリストになった理由」
日程:2018年5月9日(水)~13日(日)
会場:東京都 恵比寿・エコー劇場
出演:福永マリカ / 辻響平、伊藤亜斗武、榊菜津美、野村龍一、真嶋一歌、田中健介、石澤希代子 / 石井玲歌、佐々木なふみ、菅井育美、高木薫、瀧啓祐、富田喜助、三木万侑加 / 黒沢佳奈、佑木つぐみ
https://uwanosora-hiasobipray08.jimdo.com

最終更新:2018/05/02 19:22
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