舞台『りさ子のガチ恋▽俳優沼』脚本&演出家・松澤くれは氏が明かす、制作のウラ側――「元モー娘。新垣里沙は、バケモノのような女優」<前編>
#舞台 #インタビュー #演劇 #モーニング娘。 #新垣里沙
■“容姿と表情”“役者の演技”を、いかに自分の言葉で伝えるか
――小説の出版の話は、いつ頃からあったんですか?
松澤 担当編集さんが舞台を観に来てくださって、僕も「小説にしたい」という気持ちがあったので、すぐに打ち合わせをして「じゃあ、2カ月で第一稿を書いて、年明けには形にしましょう」と、ものすごいスピードで話が進みました。去年の秋はずっと原稿を書いていましたね。
役者さんが演じていると、もうパッと見で伝わるじゃないですか。でも小説では、今どんな顔をしていてどんな服を着て……というのを、細かく書かないと伝わらない。舞台では役者さんの演技に委ねる部分も、すべて自分の言葉で表現しなければならないので、“容姿と表情をいかに伝えるか”に気をつけました。
――小説は、舞台版とは異なる結末を迎えますよね。
松澤 舞台は、絶対に劇場でしかできないことをやったので、小説なら小説でしかできない終わり方にしたかったんです。最後に“あの一文”がくるっていうのが、小説の結末だなって思ったので、思い切って変更しました。
演劇の良さと小説の良さっていうのを最大限引き出したいなと思いながら、両方とも作りました。舞台版はDVDで、役者さんの“演技そのもの”を見ていただきたいですし、小説版は、りさ子の心情の移り変わりを追体験してほしい。また、小説は舞台版と比べると俳優サイドがすごく詳しく描かれているので、りさ子ではない、もう一人の主人公に注目していただだければ。
――最後には、「劇団雌猫」さんによる解説もありますが、どういったつながりで?
松澤 ちょうど『りさ子』の稽古している時に、『浪費図鑑』(小学館)という面白い本が出たらしいと聞いて、影響を受けたくなかったので、そのときは読まなかったんです。それで、後日読んだでみたらすごく面白くて、お会いした事もないのに、勝手に“同志”だとシンパシーを感じて(笑)。「ぜひ解説を書いてほしい」と出版社を通して僕からオファーをさせていただきました。本当に良い解説を書いていただきましたね。
――劇中作品の『政権☆伝説』の特設サイトも公開されていますが、凝ったつくりになっていますよね。
松澤 実は、『政権☆伝説』に一番力を入れたといっても過言ではありません(笑)。イラストはプロのイラストレーターさんに、サイトデザインやロゴは全部デザイナーさんに発注しているんです。キャラクターデザインが上がってきたときは、あまりの完成度の高さに思わず笑ってしまうくらい、力を注いでくださって。スタッフさん全員の気合の入れ方が半端じゃなかったです。スピンオフも色々やっていけたらいいなぁ……!
* * *
後編では、創り手からみた「ガチ恋ファン」や、脚本・演出家としてのルーツについて、松澤氏に引き続き話を伺っていく。
(取材・文=編集部)
●松澤くれは
1986年富山県生まれ。早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。演劇ユニット「火遊び」代表。舞台脚本家・演出家として、オリジナル作品をはじめ人気小説の舞台化を数多く手がける。『りさ子のガチ恋▽俳優沼』で小説家デビュー。
■集英社文庫『りさ子のガチ恋▽俳優沼』特設サイト
http://bunko.shueisha.co.jp/risako
☆作中作品『政権☆伝説』特設サイト
http://bunko.shueisha.co.jp/seiken_stage
■舞台版『りさ子のガチ恋▽俳優沼』公式サイト
http://www.finepromotion.co.jp/gachi/
■松澤くれは 脚本・演出舞台
オフィス上の空プロデュース 火遊びpray.08
「焔の命──女優の卵がテロリストになった理由」
日程:2018年5月9日(水)~13日(日)
会場:東京都 恵比寿・エコー劇場
出演:福永マリカ / 辻響平、伊藤亜斗武、榊菜津美、野村龍一、真嶋一歌、田中健介、石澤希代子 / 石井玲歌、佐々木なふみ、菅井育美、高木薫、瀧啓祐、富田喜助、三木万侑加 / 黒沢佳奈、佑木つぐみ
https://uwanosora-hiasobipray08.jimdo.com
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