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日刊サイゾー トップ > 海外  > 監視国家・中国が外国人通報窓口開設

超監視国家・中国の恐怖……外国人通報システム稼働開始! 自国民にはAI監視網

監視カメラの映像をチェックする中国の警察(参考画像)

 かつて中国で逮捕される日本人と言えば、せいぜい風俗絡みか違法薬物の密輸関連といったところだった。ところが近年、スパイ容疑で逮捕される事例が増えている。実は今、中国では国を挙げて外国人スパイを摘発しようと取り組みを始めているのだ。2期目の習近平政権発足以降、この傾向が一段と強くなってきている。

「北京日報」(4月16日付)によると、中国政府は一般の国民が、スパイ活動を行う怪しい人物や、組織の存在に気が付いた場合、すぐに当局に通報できるよう専用の窓口(ネットと電話番号)を設けたという。中国の公安機関といわれる「国家安全部」が開設したこの専用サイトは「国家安全機関挙報受理平台」と名付けられ、中国の治安や安全を脅かす活動をしている人物や組織を発見した場合、すぐにサイトの専用窓口から通報するよう呼びかけている。

 通報の対象となる行為については「中国の主権、領土、安全に危害を加えたり、中国の国家分裂や破壊を企むこと」や「公務員や、武装部隊、警察などを買収し動乱を引き起こすこと」、「国家転覆や、社会主義制度を否定すること」、「スパイ活動により、中国の安全を脅かすこと」、「国家の機密情報を違法に収集したりすること」と主に5つの行為に関して記載されている。

今回のスパイ通報の専用サイト。フォームに通報内容を事細かく記載する仕様となっている

 さらに、サイト上には情報提供者に報奨金が支払われることが明記されており、情報の重要度にもよるが最大で50万元(約860万円)が支払われるという。近年、中国では外国人の締め出しを強化しており、2016年からは外国人をランク付けして高度人材の居住は歓迎する一方、出稼ぎ目的など国家に直接的なメリットのないフツーの外国人への就労ビザ発給や外国人工作許可証を厳格化し、国外へ追いやろうとしている。

 今回の試みも、外国人への監視体制の強化という意味合いがありそうだが、こうした動きは外国人だけにとどまらず、自国民にも向いている。

「中国政府は最新のAI技術を使った“超監視社会“の実現を推し進めています。中国では、監視カメラとAI顔認識技術を組み合わせた『天網システム』と呼ばれる監視システムを導入しており、すでに中国全土には1億7,000万台以上の監視カメラが繁華街や公共施設などで稼働しています。AIによる顔認識技術の進歩は凄まじく、指名手配犯や行方不明者の顔のデータと、監視カメラに映る通行人とを常時、照合しています。先日も、ライブ会場にいる5万人の中から、指名手配犯1人が即逮捕されたニュースも話題になっていました。この天網システムによって、過去2年間だけで約2,000人の指名手配犯が逮捕されたといわれています」(香港在住の日本人ジャーナリスト)

天網システムの実験では、ターゲットとして登録された男性をすぐに発見した

 まさに市民の目と、AI技術のダブルパワーで最強の監視体制を敷く中国だが、民主運動家や少数民族弾圧の手段としても、悪用される危険性が指摘されている。外国人だけでなく、中国人にとっても「息苦しい国」であることは変わりないようだ。
(取材・文=青山大樹)

最終更新:2018/04/24 22:30
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