財務省・福田次官の“セクハラ疑惑”──テレ朝女性記者の音声持ち込みは、なぜ「文春」でなく「新潮」だったのか
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
さらに事態は動いた。19日未明にテレビ朝日が緊急会見を開き、新潮へ音源を持ち込んだのは自社の女性記者であると発表したのである。
この女性記者は以前、福田次官からセクハラ被害を受けていると上司に相談していたが、本人が特定されることで2次被害のおそれがあることなどを理由に、「報道は難しい」といわれていたそうだ。
そのため女性記者は「セクハラ被害が黙認され続けてしまうのではないか」という思いから新潮編集部に連絡して取材を受け、録音した一部も提供したそうだ。
テレビ朝日の報道局長は、取材活動で得た情報を第三者に渡したことについて、「報道機関として不適切な行為であり、当社として遺憾に思っている」といったが、これは明らかにおかしい。
新潮が、今週号の「『なぜ自社で報道できないのか』の疑問に答える」の中で、「セクハラに反発したりすれば、その女性記者が所属する社は財務省から嫌がらせをされて“特オチ”が待っている。そうなると同僚にも迷惑がかかります」(財務省を担当するデスク)と書いているように、特オチすれば地方の支局へ飛ばされることもあるからだ。
しかし、自社の社員が取材先からセクハラを受けているのに、何もできなかった彼女の上司たちこそ、報道機関にいる人間として「不適切」だといわざるを得ない。
文春のように、多くのメディアは、この女性記者がテレビ朝日の人間だとわかっていたに違いない。
福田が新潮報道を全否定していた時点で、テレビ朝日側がこのことを公表していれば、福田は二度と世間に顔向けが出来ないほどの大恥をかいて、辞任に追い込まれたはずである。
ところで、なぜ彼女は文春ではなく新潮へこのネタを持ち込んだのだろう。
新潮に知り合いがいたとすればわかるが、そうでないとすれば、女性読者が半数を占めるという文春のほうが、セクハラには敏感だと思うのだが。
私なりに考えてみると新潮を選んだ理由は3つあると思う。テレビ朝日は朝日新聞系列であるから、長年、朝日批判を売り物にしている文春は嫌だったのではないか。
新潮はしばらく前に元TBSワシントン支局長にレイプされたと顔と実名を出して訴えている伊藤詩織のことを大きく取り上げている。
いま一つは、この頃は安倍首相批判もやっている文春だが、先の元TBSワシントン支局長を最初に起用したのも文春だし、編集長も常々、安倍首相とは親しいと公言しているから、情報が流れることを危惧したのではないか。
福田次官更迭で、麻生財務相の辞任も避けられないだろう。
20年前の、ノーパンしゃぶしゃぶ事件では、大蔵省が解体された。今回、財務省はどうなるのだろうか。
ところで安倍首相が妻の昭恵と柳瀬唯夫元首相秘書官を連れての「疑惑からのアメリカ逃避行」は大失敗に終わったようだ。朝日新聞DIGITAL(4月19日09時33分)はこう報じている。
「初日の17日の会談は北朝鮮の核・ミサイル問題に時間を費やしたが、2日目は通商問題に的を絞って意見交換した。トランプ氏は、18日の首脳会談前のワーキングランチ冒頭から『米国は非常に多額の対日貿易赤字を抱えている。それを取り除き、できれば近い将来、均等にしたい』と首相にクギを刺した。安倍首相が『自由で公正な』貿易と語ったのに対し、トランプ氏は『互恵』という観点も大事だと強調し、米国にとっても利益のある貿易でなければならないと強調してみせた」
TPPへの復帰も拒否され、鉄鋼・アルミ製品への関税適用も外されることはなかった。
結局、トランプとゴルフをやっただけに終わったのでは、下がり続けている支持率を止めることはできない。
ここでNEWSポストセブン(4月19日)の、財務省の担当に美人記者が多い理由を紹介しよう。
「報道各社にとって、“霞が関の中枢”である財務省への取材は超重要。それだけに、エース級の記者がしのぎを削っている。
『超堅物の官僚からスクープ情報を取るのは至難の業。そこでテレビ各局は、少しでも印象をよくするためなのか、たまたまなのか、選りすぐりの美人記者を財務省の記者クラブに送り込んでいます。もちろん外見だけでなく、財務官僚と渡り合えるだけの頭脳も必須です』(全国紙記者)
(中略)
『福田さんはお酒が弱くて、酔って記憶がないなんてことはたまにあるそうです。記事には日頃からセクハラを連発することで有名だったと書かれていましたし、担当の女性記者は呼び出されるたびにビクビクしていたんでしょうね…』(前出・全国紙記者)
小さい時から神童と呼ばれ、東大をトップに近い成績で卒業したスーパーエリートの財務官僚は、ちょっと変わった人ばかり。そんなオジサンたちを相手にしなきゃいけないのだから、彼女たちの苦労は推して知るべし。若手の財務官僚が言う。
『省内でも、“あの記者は目を引く”と評判になる人がいつも何人かいます。最近では、テレビ朝日の進優子記者は女子アナと見紛うような美形ですし、フジテレビの石井梨奈恵記者は上智大学から仏パリ政治学院に留学した経験のある才媛。NHKの山田奈々さんは突っ込んだ取材をする優秀な記者だと評判です。ぼくたち若手はほとんど相手にされませんが、一癖も二癖もある幹部たちから直接、携帯で呼び出されるのを見るとホントに大変そうです』」
しかし、福田財務次官は、辞任を表明しても、まだ、セクハラ発言はしていないと抗弁している。見苦しい。
「字面を事実であるという前提にすれば、これはセクハラ。でも、本人は前段も状況も違うといっているので、ハラスメントの実態があったかどうかをまず究明する必要がある」
参院経済産業委員会で、福田氏の行為をセクハラとして認定すべきではないかと問われた財務省の矢野康治官房長はこう答え、セクハラと認定することを避けた。
もしや、福田次官は、あの録音はテレビ朝日の女性記者とのpillow talk(睦言)だったとでもいうつもりなのか。
ベットの上での会話なのだから、「胸触っていい?」「手しばっていい?」という言葉を挟んでもセクハラではないと主張したいのだろうか。
魚は頭から腐る。安倍首相が嘘をつくから、元秘書官も財務省のトップも、元国税庁長官も平気で嘘をついて恥じることがない。麻生財務相、菅官房長官も含めて、すべての「膿」を出し切り、一掃しなくては、この体質は変わらない。
【巻末付録】
合併号だからさぞかし力作が多いのだろうと期待したが、意外や意外。
まずはポストから。まずはライザップで変身したという演技派女優「佐藤仁美 ほんとうのわたし」「写真家・秋山庄太郎と美しき女優たち」。大原麗子がいい。
袋とじは「逆立ち美人はパンティで勝負!」。やはり袋とじは「英国BBCが報じた『女性のための女性器ガイド』。まあ期待するほどのものではない。
「相澤仁美、再び」。これは西田幸樹の「なをん」の13回。「一般女性24人『美しき全裸撮影会』」「美女×水着×」。そしてまた袋とじ「伝説のAV女優大名鑑」とまあ、盛りだくさんではあるが、どれもそこそこ。
現代にいく。SEXYではないが袋とじで「ゴールデンウイークに旅先で使える ご愛読感謝『お楽しみクーポン券』」というのがある。アイデアではあるが。
袋とじは「巨乳だらけの『脱衣運動会』開幕!」。どんなものか、買って見てください。
またまた「わが青春の女優たち」。やはり袋とじで「国民的女優の『濡れ場ヌード』宮地真緒」。そして今週号の一番の売りは国民栄誉賞を受賞した「元なでしこ」の「丸山桂里奈 衝撃のコスプレ七変化」である。
私はまったく知らないが、彼女、テレビのバラエティによく出ていて、SEXの話などしているそうだ。
知らないで見るとどこのキャバレーのお姉ちゃんかと思う。まあ、サッカーよりも、こういうことがしたかったんだろうね。
一見の価値は少しあるが、まあ、見なくても……。
というわけで、今週は引き分け。
(文=元木昌彦)
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