ガリットチュウ・福島善成が到達した「出オチ」「無言」という最強ポジション
#お笑い #ズバッと!芸能人
今回取り上げるのは、お笑いコンビ・ガリットチュウの福島善成だ。
■泥の97年デビュー組
彼らのことを語るときに、9年前に出演した『アメトーーク!』(テレビ朝日系)は避けて通れない。彼らは番組の中で、「泥の97年デビュー組芸人」というくくりで登場。その中で福島は、「周りのスタッフから毎年『5年後売れるよ』と言われ続けて、13年たった」「休日が多いことを嫁が心配するため、休みなのに仕事に行くフリをする」といったエピソードを披露。翌年に放送された「Part2」では、雨上がり決死隊・宮迫博之が「やったらアカン企画なんです。羽ばたいてもらわないと」と、出演していた芸人たちに活を入れていたが、福島はその中で、奥様からの手紙に、こみあげるものをおさえていた。
そんなガリットチュウを含め、「泥の97年デビュー組」の芸人は、若手時代こそテレビに多少なりとも出させてもらっていたものの、トークなり雰囲気なりリアクションなり、とりたてて決め手がなかったことから次第にテレビから遠ざかっていった。
■一時期はユーチューバーになったことも
そんな福島は、デビュー当初から得意だったモノマネをやり続けながらも、数年前にはYouTubeからのブレークを狙って、家族全員で、ディズニーランドのアトクラクションを何個制覇できるか挑戦したり、自宅をDIYする動画をアップするも、なかなか鉱脈は見いだせずにいた。その「ネットでの売り方」が、結果的に、現在フォロワーが急増中のインスタグラムに流れていく。もちろんそのインスタを始めたきっかけは、盟友・くっきー(野生爆弾)からの助言もあったとされている。
■出オチでも許されるポジション
そんな福島の姿をテレビで見かける機会は年に1~2回、日テレの各番組が集結する『DASHでイッテQ!行列のできるしゃべくり日テレ系人気番組NO.1決定戦』(日本テレビ系)の中に見かけるくらいだった。その尺、長くても“15秒”程度の、いわば「出オチ」だった。
だが、船越英一郎、ダレノガレ明美、貴乃花親方と旬な芸能人のものまねをして注目を集めることによって、そうしたポジションをさらに確立。各番組からの「出オチ」でのオファーを得ることに成功したのだ。
■無言キャラという前代未聞の芸
さらにトークではあまり評価がされない彼にとって好都合だったのが、言葉少なに答えることで知られた貴乃花親方のモノマネだった。顔の表情と服装だけで笑いが取れるのである。
14日に放送された土曜スペシャル『たけしが行く!わがままオヤジ旅3 古都金沢…爆笑珍道中』(テレビ東京系)では、ビートたけしや國村隼、岸本加世子を前に、いつもの長いストールにスーツという親方スタイルで、何も言わずに突っ立っているだけで、笑いを誘っていた。
そんな彼が受け入れられる土壌には、近年、芸人というくくりが多様化したことで、無理にトークで笑いを取らなくても許されるようになった背景もあろう。
■「換気」芸人
テレビ業界には「チェンジ・オブ・ペース」という言葉がある。言葉のごとく「気分転換」、つまり空気を変えるといった意味合いだが、同じメンバーによる展開が続くことで硬直化しそうなスタジオの流れを変化させるべく、あえて作為的に登場することで、さらに場をもたせるやり方だ。この役割に福島がハマった。空気を換える男、福島善成。今後、どんな風を吹かせてくれるのか楽しみだ。
(文=都築雄一郎)
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