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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > サラリーマンのバイブルで恋愛を学ぶ
じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

現代の男は宮本成分が足りない! サラリーマンのバイブル『宮本から君へ』で仕事と恋愛を学ぶ!!

■サラリーマンにあるまじき異常なケンカっ早さ

 

 宮本は、新人営業マンでありながら、まっとうな社会人とは思えないほどのケンカっ早さで、そんじょそこらの任侠マンガのヤクザよりも、よっぽどキレやすい性格かもしれません。

 ライバルの文具メーカー・コクヨンの営業マン、益戸の挑発に乗って、客先で取っ組み合いになったり、カラオケスナックで酔った勢いでボクシング経験者と殴り合ったり、しかもケンカが強いかというと、別にそうでもなく、ほぼ全敗。作品中盤以降は、スーツ姿なのに頭に包帯を巻いていたり、腕にギプスをはめていたり、前歯が折れていたり、いつも満身創痍の状態で、どう考えても堅気のサラリーマンとは思えません。

 しかし、そのケンカっ早さにより仕事も恋愛も結果として好転してしまうのが宮本のすごいところです。もしかしたらサラリーマンが不利な状況を打開ために、時には後先考えずケンカをしてみるというのも一つの手なのかもしれません。(逆に会社クビになるかもしれませんが)

 

■作品後半の地獄のような鬱展開にドン引きする読者が続出

 

 本作品最大の問題シーンは、作品後半、宮本と靖子がラブラブで幸せモード全開、おまけに仕事も絶好調、という状況の中、突如として靖子が屈強なラガーマンにレイプされてしまうシーンがやってくるところです。しかも恋人であるはずの宮本が酔いつぶれているその横でのレイプ、という二重の意味での衝撃。

 以前ご紹介した『愛しのアイリーン』同様、幸せの絶頂から不幸のドン底に叩き落して読者をビビらせる、新井英樹イズムの真骨頂とも呼べるシーンですが、連載当時はあまりに凄惨なこのレイプシーンが原因で、連載終了が早まったともいわれています。

 本作品では何かとこのシーンが取りざたされがちなのですが、その後に宮本が、肉体的にも人格的にも別キャラクターとして進化し、壮絶な闘いの末に因縁のラガーマンに復讐を果たすシーンまでをセットで読むことで、作品の印象がだいぶ変わってきます。

 

■相手のことを一切考えない、超自己中なプロポーズ

 

 レイプシーン以降、誰の子かわからない子どもを身ごもった靖子。宮本は、誰の子であっても受け入れると、靖子へプロポーズするつもりでした。一方で靖子は誰とも結婚せず、シングルマザーとして生きることを決意していました。

 ラガーマンへの復讐を果たした後、それまでの人格とは全く変わって豪快なキャラになった宮本は、”俺が幸せになれば結婚相手も幸せになる理論”で、恐ろしいほど自己中なプロポーズを繰り返します。

「いいじゃねえか結婚、してちょうだいよ靖子ちゃん、チマチマ考えてねえでさっさと返事しやがれこのクソったれ」

 なんという斬新なプロポーズ。このセリフでどうやったら相手がOKすると思えるんでしょうか。しかし、その後の自己中プロポーズは、もっとすさまじいものでした。

「あきれようが嫌おうが、そんなこと屁でもねえ、お前がどんなに思おうと知ったこっちゃねえ、でも俺がこの先一生ずっと死ぬまで側にいてやる」

「子供は俺の子、俺こそがすげえ父親ら、大盤ぶるまい、お前らまとめて幸せにしてやる、俺の人生バラ色だからよお」

 あくまで根拠のない自信で押し切る宮本。そして、ついに受け入れる靖子。本作品で最も泣けるシーンですが、やはりここまで自信たっぷりに押されると、女性も思わずOKしちゃうものなんでしょうか。宮本流、最高にロックなプロポーズ。結婚する予定のある方はぜひ使ってください!(無責任)

 というわけで、賛否両論ありまくり、破天荒すぎるサラリーマンを描いたマンガ『宮本から君へ』をご紹介してみました。結局のところ、本作品のテーマはほぼ仕事と恋愛のみ。今回ご紹介したシーンにかかわらず、ほぼすべてのシーンで常に全力、常に熱くて、常に自己中という宮本の姿を見ると、良くも悪くも、心の中に強烈な何かが残ることは間違いありません。サラリーマンなら一度は読んでみて損はない作品です。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

◆「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/07 19:31
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