飽和状態の「日本礼讃番組」飽きられ始めた“愛国ポルノ”乱発の裏に撮影カメラの進化アリ!?
#バラエティ
ここ数年、日本の倫理観や道徳観、モノづくりの巧みさ、おもてなし、文化などについて、外国人に「日本を褒めてもらう」番組を非常に多く見かける。『世界!ニッポン行きたい人応援団』(テレビ東京)のように真正面からホメるものもあれば、『Youは何しに日本へ?』(同)のように「個人」をフォーカスしつつも間接的にホメるもの、世界のニセJAPANに正しい日本の技術をドッキリ伝授する『ぶっこみジャパニーズ』(TBS系)なんて不定期放送番組もある。
さらに、2月にはテレビ東京で『ヒャッキン~世界で100円グッズ使ってみると?~』という番組まで放送されていた。『アメージパング!』(TBS系)、もう終了した『ネプ&イモトの世界番付』(日本テレビ系)など、ほかにも単発の特番などを含めると、かなりの数になる。
そもそもなぜ日本礼賛番組が増えたかというと……。バラエティ系放送作家は言う。
「ひとつには、自分の国や民族が褒められるとうれしいという気持ちが、もともと根底にあったことがあるでしょう。さらに、技術的な変化も大きいですね」
かつてロケには大きなカメラが必要だったが、今は小さくても高性能なカメラが登場したことで、簡単に良い「画」が撮れるようになったのだという。また、以前は海外に行くとなると、ロケに何人ものスタッフが必要となり、費用がかさむという問題もあった。しかし、今はディレクターさえ行けばなんとかなるため、比較的お金をかけずに海外ロケが敢行できるそう。
「日本に来ている外国人に密着する番組なども、1日中空港で待っているのは大変そうに見えますが、実はカメラ1台あればいいだけなので、意外とラクにつくれる番組なんです」(同)
こうして見ると、「日本×世界」の番組は常にそれなりに需要があるように思えるのに、その一方で現在『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の枠で放送されている『世界の村のどエライさん』は、視聴率2.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するなど、「どエライ」ことになっている。
いったいなぜ?
「オリンピックの中継などで日本人選手ばかりが映るのと同じで、多くの人は『日本と、日本人にしか興味がない』からです。日本が外国からどう見られているかが気になり、世界で活躍する日本人や、世界で褒められる日本人を見るのは大好き。だから、海外の話であっても、日本人の活躍を紹介する『世界ナゼそこに? 日本人』などは好きなわけです。それと似て非なるものが『世界の村のどエライさん』で、日本とも日本人とも関係ない世界のすごい人がどうしたとか、大変だとかいうことには、全く興味がないんですよ」(同)
ちなみに、日本礼賛番組は今もまだ多いが、すでにピークは過ぎているという。
「日本スゴイ! という番組をうれしく思って見る人もそれなりにいる一方で、そうした番組の多さに辟易している人が多数いるのも事実。ネット上にも『胃もたれする』『気持ち悪い』という声がたくさんありますし、『愛国ポルノ』なんて呼び方があるくらいですから」(同)
気持ち悪いと感じる人の声がそれなりにありながらも、まだまだ続く日本礼賛番組。そこには、意外な企画・制作のイージーさも一因としてあるのかも。
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