いよいよゴーストタウン化が加速化──阿波踊りが地獄絵図を見せる徳島市の断末魔
#地域
運営側が、踊り歌みたいなことをやっていたら、地獄絵図になるのも当然だ。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」の歌でも知られる徳島県の名物・阿波踊りが、開催の危機に瀕していることが明らかになり、にわかに注目を集めている。
騒動の発端は、阿波踊りを主催する徳島市の観光協会が先月初め、4億円を超える累積赤字を理由に破産の申し立てをしたこと。たいていの地方には当たり前にある観光協会。それが、赤字で破産というのも驚きだが、問題はその理由だ。
さまざま報じられている内容では、観光協会と共に阿波踊りを主催する徳島新聞社が毎年チケットを買い占め、雨天時のチケット払い戻しなどのリスク部分だけを押しつけるなど、不透明な運営が行われていたという。
つまり、メディアをはじめさまざまな産業を牛耳る地域の権力者たちが、甘い汁だけを吸う構造が長年続いていたという、闇の深い事実が暴露されたわけだ。
今回の破産申し立てを受けて、徳島市では新たな形での、阿波踊りの開催が模索されているが、徳島市は市が事務局を担う実行委員会方式を提案。対して、地元の連(踊り手の組織)でつくる阿波おどり振興協会は観光協会の存続を訴えており、開催されるかも危うい状況だ。
こうした事態に、不安な気持ちを募らせる徳島市民は多い。
「そもそも、徳島市に人が集まるのは、阿波踊りとマチ☆アソビくらいしかないんですから……」(ある徳島市民)
徳島市の経済規模の小ささを示す例として、よく引き合いに出されるのは、高層ビル。徳島県でもっとも高いビルはJR徳島駅に直結した「JRホテルクレメント徳島」の18階建て。もちろん四国四県のうちで、最下位である。
信じられないことだが、1889年に市制が施行された時に、徳島市は全国でも第10位の人口を持つ巨大都市だった。しかし、その後は衰退の一途。1960年代には四国の県庁所在地中最下位になり、明石海峡大橋の開通後は、関西圏への便の良さから、加速度的にゴーストタウン化が進んでいる。
「マチ☆アソビのようなオタクイベントも定着し、その開催期間中はにぎわいますけど……。商店街の<アニメの街>とうたっている一角なんて、アニメイトと劇場はあるけど人はいない。オタクには便利ですけど、それだけじゃお金は回りませんよ……」(同)
唯一、カネが入る手段として、永久に続くと思われていた阿波踊りの崩壊。徳島市は、いよいよゴーストタウン化してしまうのか。むしろ、ここで膿を出し切って観光都市として再生してもらいたいものだが……。
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