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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 『たまゆら』の聖地、竹原市の行く末

『たまゆら』の聖地に見た“向上心を忘れた観光地”竹原市の行く末──観光協会と地元民の不協和音も

駅のロータリーにある観光案内所。看板がちょっとアレな感じだけれど、中にいる職員はエラく親切で好印象だ

 もはや、どこにでも当たり前のように存在するようになったアニメの「聖地」。

 今回、たまたま訪れた広島県竹原市で見たのは、「聖地巡礼」ブームが去った後に、どうやってその“観光資源”を生かしていくかという問題であった。

 写真好きの女子高校生である沢渡楓を中心に女子高生たちの青春を描く『たまゆら』がOVAとしてリリースされたのは、2010年。翌11年からはテレビアニメが2期にわたって放送。その後、OVAで16年に完結した。

 それから2年あまり。竹原市は「訪れてみたい日本のアニメ聖地」にもセレクトされている。でも、普段の竹原の市街地には、賑わいは見られない。駅を一歩出ると広がるのは、営業している店のほうが少ない商店街。そんな駅前のロータリーにある観光協会の建物に掲げられた『たまゆら』のイラストも、すでに輝きを失っている……。

 正直「大丈夫か?」と感じながら、観光協会で街の観光スポットを尋ねてみた。

 中にいた観光協会の職員が勧めたのは、駅から少し歩いたところにある「町並み保存地区」。古くから製塩などで栄えた竹原は「安芸の小京都」と呼ばれる土地だったという。そんな歴史を聞いた後に『たまゆら』の話題をふると、職員は『たまゆら』の舞台をガイドマップでまとめたパンフレットを渡してくれた。

これでも「訪れてみたい日本のアニメ聖地」88カ所の一つに選ばれている。まあ、訪れるだけなら、すぐできるし

 すでに作品の完結から、少し時間がたってしまったが、まだアニメファンは訪れるのだろうか。そのことを尋ねると……。

「イベントの時なんかは、まだたくさん来てくれますよ」

 この竹原はNHKの連続テレビ小説『マッサン』の舞台にもなった土地。でも、観光協会でしきりに推されたのは『マッサン』よりも『たまゆら』のほうだった。

 実際、アニメの聖地となったことのインパクトは大きかったのだろう。シャッターばかりが続く商店街には、あらゆるところに『たまゆら』のポスターやPOPなどが掲げられているのだ。その商店街を抜けた先にある道の駅には『たまゆら』の特設コーナーまで設けられている。

聖地巡礼がブームになると、こんな「おかんアート」みたいなのが生まれる現象をなんと名付ければよいのか
駅前から続く商店街には作品に対する愛を感じる。この微妙に関連商品を売っている雰囲気が逆に興味深くなる

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