吉岡里帆演じるキョドコは死んでしまったのか!? 走馬灯のようにめぐる淡い幸せ『きみ棲み』最終話
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吉岡里帆が連続ドラマ初主演を果たした『きみが心に棲みついた』(TBS系)の最終回の視聴率は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でした。後半では最も高い数字でしたが、全10話をとおして一度も10%台に乗せることはできませんでした。ヒット作とは呼べませんが、数字以上に吉岡演じるキョドコが心に棲みついてしまった視聴者も少なくないのではないでしょうか。『きみ棲み』最終話とキョドコ&星名がドラマ界に残したものについて振り返りたいと思います。
第9話で漫画誌編集者の吉崎(桐谷健太)から別れを告げられた小川今日子(吉岡里帆)ことキョドコでした。恋愛相手に依存しているというのが、吉崎の言い分でした。シリーズ序盤のキョドコだったら、失恋のショックで会社も休んでいたはずですが、新ブランドの発売日が迫っていたのが幸いでした。仕事に打ち込むキョドコを見て、彼女をずっと見守ってきた先輩の堀田(瀬戸朝香)は「オガちゃん、変わったね」と温かい言葉を掛けるのでした。相性がまるで合わなかった八木(鈴木紗理奈)の「振った男に感謝やな」という憎まれ口にも「はい」と笑って返すことがキョドコはできるようになったのです。
数々のパワハラ&セクハラがバレて停職処分となったゲス上司・星名(向井理)のいない職場で、キョドコはせっせと働きます。そんなとき、星名の姉・祥子(星野園美)が会社に電話を掛けてきます。星名の母(岡江久美子)が入院したので、星名に誰か連絡してほしいというものでした。
星名とはすっぱり縁を切ったキョドコですが、自分の母親(中島ひろ子)に別離宣言した後ろめたさもあって、星名の母親が入院している病院へお見舞いに訪ねます。そんな余計な気遣いこそが、キョドコらしさです。病床の星名の母親が言った「優しいのね。あなたみたいな人があの子の周りにいるのなら、よかった」という言葉が胸に沁みるキョドコでした。
タワーマンションの自宅で酒浸りの日々を送っていた星名に、キョドコは「お母さんに会いに行ってください」と電話で伝えますが、途中で切られてしまいます。結局、星名は母親の見舞いに行くことはありませんでした。新ブランドの発売日という晴れやかな日に、星名の母親はこの世を去るのでした。星名が完全に音信不通になったことに不吉な予感を感じたキョドコは、星名がひとりで行きそうな場所を探して回ります。星名はいました。大学の部室に篭って、練炭自殺をしようとしているところでした。
「キョドコかよ。あんただけだよ、このクソみたいな世界に。じゃあ、いいや。お前もつきあえよ」
星名は父親を刺殺したのは母親ではなく、実は自分だったことをキョドコに打ち明け、キョドコとの心中を図るのでした。「星名さんをただ助けにきたんです」というキョドコでしたが、2人とも一酸化炭素中毒に陥り、お互いに心のキズを舐め合った大学の部室で重なるように倒れ込んでしまいます。
■ドラマを脇で支え続けたムロツヨシ。こちら側の人間に幸あれ!
キョドコが目を覚ますと、そこは天国でした。というか、天国みたいなメルヘンワールドでした。別れたはずの吉崎がギリギリのところで現われ、病院へ搬送してくれたのです。キョドコが一度死んでからは、素晴しいことばかりが次々と起こります。星名は姿を消し、吉崎が担当した漫画家のスズキ先生(ムロツヨシ)は日本漫画大賞を受賞。その受賞パーティーの帰り道、吉崎は路上に転がっていた靴を拾います。見覚えのある靴でした。すっかり元気になったキョドコがまた盛大に路上でコケていたのです。灰かぶり姫のような悲惨な人生を歩んできたキョドコは、こうして無事に吉崎王子との再会を果たしたのでした。晴れてキョドコは純白のウェディングドレスに身を包み、幸せなエンディングを迎えます。結婚パーティーには仲の悪かった母親も出席し、キョドコとは恋敵だった飯田(石橋杏奈)や為末(田中真琴)も笑顔で参加しています。絵に描いたような大団円です。そして最後の最後に「Happy Wedding キョドコのクセに」とメッセージが添えられた星名からの花束が届くのでした。
星名の練炭自殺騒ぎ以降、いっきに恋愛ファンタジーと化してしまった『きみ棲み』最終話でした。練炭自殺の巻き添えになったキョドコが、死ぬ間際に脳裏に浮かんだ妄想の世界なのかなと思ってしまうほど、キョドコにとってあまりに都合のいい幕切れです。まぁ、このくらいのハッピーエンドを用意しないと、キョドコの暗い人生を3か月間共にした視聴者も後味が悪いわけですけどね。
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