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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > “子どもができなくても”幸せな最終回

過去最高視聴率!『隣の家族は青く見える』の“子どもができなくてもハッピーエンド”は番組の良心

■子どものいない人生も選択肢にいれた奈々と大器

 

 大器は、何度も何度も、ライン(的なやつ)で変顔を送ってくるなど、不器用なアプローチを続けるが、奈々は返信できない。そんな奈々の元を聡子が訪れるが、戻っても大器につらい思いさせてしまうと語る奈々。しかし聡子は言う。

「つらい思いさせればいいじゃないの。妻がつらい思いしてる時は夫も一緒につらい思いするべきでしょ。うれしいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの? つらくても悲しくても悩んでも苦しんでも、2人で一緒に生きていこうって約束したことが夫婦なんじゃないの? それが結婚ってもんなんじゃないの?」

 小さく振り絞るように語る高畑淳子が、またしても全部持ってく勢い。このドラマ見ていた人は、もはや全員高畑ファンだ。

 奈々は帰宅するなり大器を抱きしめ謝る。ひとしきり気持ちを伝える奈々を、ただ「おかえり」と受け入れる大器。

「赤ちゃんを授かることが奇跡だって思ってたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだなって」

「大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

 子どもができることはもちろん素晴らしいが、それだけでない価値観に気付いた奈々。

「子どものいない人生は耐えられるけど、奈々がいない人生は耐えられないよ」と大器も応える。

 大器を思わず抱きしめ「だいすきーだいすきーだいすきーー」という奈々が、異様に深キョンぽくて生々しかった。

 結局、不妊治療を一旦終了した奈々。子どもを持たない夫婦の居場所も、あのコーポにはある。

 

■子どもができなくてもハッピーエンド

 

 コーポでのバーベキューの最中、ちひろに内緒でサプライズの結婚パーティーが始まった。事実婚を「結婚」として捉えない人がいるが、個人的なつながりを第三者機関に届けないというだけで、普通の結婚だ。このサプライズが亮太の発案だと知り、涙するちひろ。

「口悪い人って涙もろいのよ」という深雪を見て、第2話で価値観を押し付けるなとちひろに言われ『モスラ対ゴジラ』のように派手に大げんかしていた頃を懐かしむ。メガネを外した真一郎が神父になりきり、和ませる。

 朔は広瀬の仕事を手伝いだした。深雪はケーキ屋で働き始め、真一郎は塾講師をしつつ学習ボランティアも続けている。亮司たちも、なんじゃもんじゃゲームを全員で楽しめるくらい亮太と打ち解けた。

 奈々は部屋の滑り台を戻した。「たとえ2人きりの人生だとしても、子どもを避けるような生き方はしたくない」「お母さんという形ではなくても、子どもとは触れ合って生きていたい」という気持ち通り、復帰した職場でキッズダイビング教室を提案。子どもがいること、いないこと、どちらにもとらわれすぎない柔軟な考え方は、奈々をますます生きやすくするだろう。

 大器は職場でプレゼン。「価値観や家族の形態が多様化した現代社会だからこそ、あらゆる形態の家族や仲間が共存共生する社会を目指します」タイアップしてる厚生労働省がちらつくが、このドラマで得体の知れない肩の重みが取れた人もいたかもしれない。

 なかなかこのドラマのように簡単にはいかないだろう。しかし、子どもができないまま奈々たちは前を向いた。「子どもができて、はいハッピーエンド」にしなかったところに、良心を感じました。最終回は少々展開的に物足りない感もありましたが、全体にうまくまとめたいいドラマでした。続編は難しいかもだけど、また別の価値観さんたちを集めて、ぜひ新シリーズを!
(文=柿田太郎)

 

最終更新:2018/03/23 20:00
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