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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『海月姫』の低迷は「見方の違い」

フジテレビ月9『海月姫』全話平均6.1%フィニッシュ! 低迷の原因「世代間のドラマの見方の違い」くっきり

■天水館フォーエバー

 

 天水館での打ち上げでは、突然入ってきたカイ(とファヨン)が「君たちにしか作れない素敵なドレスだった」とショーを絶賛。退職金代わりにもらったという天水館の管理人になるとのことで、これからも尼~ずは家賃を稼ぐために服を作り、ここに住めることに。そして、服飾の勉強のため大学を辞め、明日からニューヨークへ向かうと決心した蔵之介は、いよいよ皆の前であの告白をする。

「実は、俺……男なんだよ!」

 しかし、全員とっくに気付いていたというオチ。ばんばとまやや(内田理央)ですら、少し前に花森が口を滑らせていて知っていたのに、千恵子だけが「ええええええええーーーー!」と驚愕。一番しっかりしてそうなのに純粋。

 そして今まで一度も部屋から出てこず、いつも筆談で「ご託宣」をくださる売れっ子BL漫画家の目白樹音先生(滝藤賢一)が、ついに登場。こちらも男だったことを知り、再度絶叫し気絶する千恵子。ショーでの唯一の不変ぶりが逆に気になったが、目白先生は入居時に千恵子に一目惚れしたため、男を近づけぬよう天水館を男子禁制としたのだという事情が発覚。結ばれてほしい。ちなみに滝藤賢一は『貴族探偵』や『コード・ブルー 3rd season』にも出ており、最近の月9常連。

 鯉淵家では、お抱え運転手の花森(要潤)と修と両親が結婚記念日のお祝いをしてるところに稲荷と佐々木が乱入。再開発計画が頓挫して以来すっかり柔らかくなった稲荷は、特に今回乙女っぽくキャラ変し、修に抱きつくなど、なんとなくいいムード。佐々木と稲荷もお似合いだと思ったが、まあ普通に考えて修ほったらかしで佐々木とくっ付くのも変ですしね。

 なぜかエンディング後の提供バックで稲荷が月海のコスプレ(おさげ髪にスウエットに眼鏡)をするシーンが流れたが、どこかで使うはずだったシーンなのだろう。

 いよいよ最後。月海が想いを伝える。

「今までは傷つくのが怖くて開けられなかった扉を、開けることができたんです。蔵之介さんが魔法をかけてくれたから」

「だから私は、(蔵之介の帰りを)待っていません! 蔵之介さんがいなくても、ジェリーフィッシュの服を作り続けます」「だから心置きなく勉強してきてください!」

 照れ隠しに皮肉を言いかける蔵之介に月海が強引に接吻。めでたしめでたし。

 もともと修に惹かれていたはずの月海(なんなら婚約者)だったのに、最後「守られているだけじゃだめだと思った」と修の求婚を断った気持ちの変化は、そのまま月海(や尼~ず)の外の世界に対するスタンスの変化なのでしょう。

 後半、残念だったのは、ファヨンの思わせぶり感にほとんど意味がなかったこと。カイとファヨンのつながりもほとんど描かれず、特に最終回はいつの間にか終わってしまった感がありました。原作では、カイ編はファッション業界のややこしい裏話的な物語なので、今回のドラマ化のテイスト向きではなく、そこをごっそり切ったのはいいと思いのですが、残されたキャラが置いてけぼりを食う形になってしまいました。

 全体としては、キャラや短いパートは面白くパワーを感じたのですが、もともとギャグ重視の漫画だから許される強引な展開を実写化したこと+時間がない中で全巻を一応網羅する駆け足展開、この2つにより、つなぎや辻褄の合わせ方がどうして強引になってしまい、感情移入を保つのが難しかった層に広がらなかったのが、数字が伸びなかった原因ではないでしょうか。

 若年層は「点」のパワーやノリを喜び、上の世代は「線」での展開やつながりをもっと求めた。そんな世代間のドラマの見方の違いもあるのかもしれません。

 しかし、そもそも深夜やネット向きな内容を、急遽決定した「月9」用に仕上げるだけでも大変だろうし、それでいて脇役まで含めキャストの健闘が目立ちました。

 全話平均6.1%と数字的には残念な結果ですが、そもそもオリンピックもあったし、その逆境をネタに盛り込む遊び(今回も「もぐもぐタイム」発言あり)なども意欲的で、健闘したと言えるのではないでしょうか。いま軽くクラゲロスです。お疲れさまでした。
(文=柿田太郎)

最終更新:2018/03/22 17:00
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