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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > ジモンの番組に女子アナ投入の功罪

『寺門ジモンの取材拒否の店』ジモンの“クセ”を浄化した……!? 久代萌美アナ投入の功罪とは

 最初こそ慣れない特殊な現場にギクシャクぎみだった久代アナだが、流れをつかんだのか、取材拒否の店とは何かとジモンに聞かれ「味に自信がない」と身もフタもない名回答。決してツッコミのうまくないジモンから、ナチュラルかつキレイな「バカヤロウ」を引き出す。すかさずそのツッコミに対し、スタッフから「初めて聞きましたよ、バカヤロウって」「(やれば)できるんですね」と背後から襲われるジモンの舐められっぷりも見事。久代アナの名アシストとも言える。

 さらにジモンが「匂いチェック」と称し、久代アナの香水が過剰すぎないか背後からクンクン嗅ぎだした瞬間、スタッフがジモンの頭頂部をスパーンと叩く。

「セクハラだって怒られるよ!」

 もはや、ジモンもスタッフもうれしそう。

 むさい部室に突如現れた女子マネジャーの前で、それぞれ頑張っている、あの感じ。古参からしたらぬるいかもしれないが、健全な浮かれ方だ。

 1件目のラーメン店で静止画のみ公開した後の2件目。その焼肉屋のレア度を伝えるため、ジモンが熱弁する。

「表に出さず、誰にも教えず、テレビなんか絶対断ってるわけです。出てないんです、すべて」

 すかさず久代アナが「じゃあ、そっとしといた方がいいですよ」と、番組コンセプトごと否定する。

「君は味方か敵かどっちかわかんない」とジモンのツッコミがまた冴える(この久代アナが「じゃあ取材やめとこう」とするパターンは何度もみられた)。

 さらにジモンは、店に入る「前フリ」に緊張感が足りないと指摘、久代アナに「死にかけたことある?」と、入店間際とは思えない詰問を投げかける。なおかつ「大体、お前フエ持ってないだろ?」と謎の飛躍。地震で瓦礫に埋もれた際に使うという緊急用のホイッスルのことらしいのだが、それを「ピー」と得意気に吹いてみせる。ゼンジー北京や村西とおるでも、普段から笛を持ち歩きはしないだろうに、この流れで入店するという、見たことのないグルメ番組。

 まずは入店後、ジモンが店主に撮影交渉。

「常連さんがいっぱい入れなくなっちゃったから~いろんな番組断ってるんでしょ?」というジモンの問いに「全然断ってますよ」と店主が答えた瞬間、「じゃあもう(取材)ダメじゃないですか」とキレイにジモンの腰を折る久代アナ。

 それでも撮影を許可してくれた店主に、「もし放送したら、すっごいたくさんお客さん来ちゃいますよ?」と店主の決心をぐらつかせるようなことを言う久代アナも久代アナだが、「お前さ、マイナスなこと言うなよ」と自分の目的以外は害(マイナス)として語るジモンもジモンだ。久代アナはさらに「電話鳴り止まないかも」と追い討ちをかけていた。

 ヒレ肉の最上の部分(シャトーブリアン)を焼いている際、的を射ないジモンの説明を「何言ってるか全然わかんない」と笑顔で切り捨てだした頃には、かなり噛み合ってきた。

 久代アナがいいのは、トークだけでなく分厚い肉塊に躊躇なく噛り付くなど、食べっぷりがいいことだ。

 分厚いヒレ肉の上に、ウニとキャビアが乗った「お遊び(命名ジモン)」を口に入れた際には「ウニ・キャビア・ニク! ウニ・キャビア・ニク!」と浮かれて連呼、さながら「U・S・A! U・S・A!」と熱狂するスタジアムの米国人のようだった。

 3軒目のコロッケ店。「すごい有名な割烹や凄い料理を勉強してる人に持って行くと『何このコロッケ』って言われるコロッケなの(ハート)」とうれしそうなジモンにおかまいなしに「コロッケって味の違い出ますか?」と容赦ない持論を吐き捨てる久代アナ。「全然食べ物わかってないでしょ?」とイラつくジモンに「わりと最後の(ウスターとか中濃)ソースで決まる」と決めつけ、「ぜんっぜん!(違う)」と、ジモンをいつも以上に般若みたいな顔にさせた。

 ジモンがいい年して独身という話の流れで、スタッフの「ジモンさん外国の人が好きなんです」といういじりに、ジモンはあわあわするだけだったが、すかさず久代アナが「だから『ジモン』ってカタカナなんですか?」とすぐさまカブせ、キレイな「違うわ!」へとジモンを導いた。

 普段は、このあわあわするジモンが苦しまぎれに吐き出す言葉が面白かったりもするのだが、そのままあわあわで終わってしまう場合も多々あるのを考えると、この助け舟は見事だ。

 その後の伝説の食パン店でも、ジモンと久代アナはいいコンビネーションを見せていた。

・「取材拒否度は何パーセントでしょう?」というフリを局アナっぽいと言われ、すかさず「え~じゃあ拒否度何パ~ですかあ~?」と拗ねたような声で言ってのける久代アナと「キャバクラの女じゃないんだから」と返すジモン。

・「パンを愛して早40年だから」といきがるジモンに「でもさっきパン屋さんは気まずくて面倒臭いっておっしゃってましたよね?」と店主に向けてバラし、ジモンを慌てさせる大胆な久代アナ。

・公園の石垣に腰掛け、焼きたてのパンを食べようとするジモンを「仕事を失ったサラリーマンみたい」と笑い、パンに目のくらんだジモンを「は?」と冷静にさせる久代アナ。

 クライマックスは、ジモンが買った(生)コロッケを油で揚げながら、時折、箸で持ち上げ要らない油を落とすというコツをレクチャーしていた時。スタッフが「ダチョウ倶楽部で要らないものを出すなら誰?」と仕掛け「俺だろうな、バカヤロウ!」と従来のコンビネーションがキレイに決まった時でも、すかさず久代アナは「自覚はあるんですね」と付け足し、笑いをさらに倍にしていた。見事。

 賛否あるとは思うが、深夜では今まで通りジモンのみで、全国放送の時は久代アナを交えて、という両軸での稼働はいかがだろうか。
(文=柿田太郎)

最終更新:2018/03/22 16:00
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