トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 深田恭子、号泣──『となかぞ』9話

深田恭子、号泣──『隣の家族は青く見える』彼女がオリーブの木を植えた意味は?

■深い雪解け

 

 中庭。深雪は萌香のことだけでなく、ゲイに対する偏見について全家庭の前で謝罪する。

深雪「私は自分と違うものを排除することで自分を守ってた」「狭い世界に閉じこもって生きてきたこと、今さらながら後悔してるところです」

広瀬「誰だってそうですよ。自分が信じてきた価値観を覆すのは勇気がいります」

亮司(平山浩行)「悪気なく誰かを傷つけてることあるだろうなって思いますし」

朔「誰のことも傷つけずに、自分のことも傷つけずに生きるのって無理じゃないかな」

ちひろ(高橋メアリージュン)「誰かが傷つくのを恐れて、言いたいこと全部引っ込めちゃうのも違う気がするしね」

大器(松山ケンイチ)「傷つけたとしても後で声に出して話し合えば分かり合えるかもしれない」

奈々(深田恭子)「いつか分かり合える時が来るといいですよね」

「3・15中庭会談」として後世まで語り継がれる歴史的会談。根の深かった深雪の気持ちが溶けていくのを見て「深雪」の名前の意味に気付く。直後の深雪とちひろのお馴染みの口論も、もはや棘々しさは皆無で心地よく、舞台化しても映える脚本だと思った。

 筆者は、大器のいう全て「声に出して話す」という物語の運び方が説明的で苦手ではあるのだが、こうした意図を掲げられると、もう黙るしかないです、ごめんなさい。

 ちなみに撮影で使われた電車は「上用賀」行きと書かれていたが、おそらく群馬の上毛電鉄。以前大器が歩いていたのは東急池上線沿線だったが、いろいろ合わせて撮影している模様。

 

■オリーブの木

 

 不妊治療の末、ついに前回妊娠した奈々。親や職場に報告したり、エコーで心拍を確認したり、母子手帳をもらってきたり、マタニティマーク(「お腹に赤ちゃんがいます」のキーホルダー)をつけたりと、不安を抱えつつも幸せそうだ。そんな奈々は庭にオリーブの苗木を2株植える。

 調べてみると、樹齢の長いこのオリーブという種は「他家受粉」といって、他の木の花粉でないと受粉しにくいらしい。同じ個体で受粉できるものを「自家受粉」(一年草などに多い)というのだが、それに対し他家受粉は個々の遺伝子が多様性に富むため、耐性もさまざま(一気に全滅しにくい)で生物として強くなるというメリットがあるという。

 このドラマのテーマである「多様性」。さまざまな価値観を持つ、違った人間同士が関わることで、お互い学びあったり助け合ったりして成長することができるということを、この木は表しているのだろう。

 オリーブの樹を植えた直後に、萌香が行方不明になり、これまで以上に住人が協力したっていたのは象徴的だ。

 仲直り目的で開かれたバーベキューの最中、突然、奈々が倒れた。その時も、それぞれが補うように対処した。深雪は動転する大器からかかりつけの病院を聞き出し連絡、亮司は車を回し、ちひろはブランケットをかけ、流れる血を隠した。奈々が運び出されたあと、オリーブの木が映し出されたのが印象深かった。

 今回はオープニングがいつもの軽快な曲ではなく、最後に流れるミスチルのしっとりした主題歌からスタートし(といってもこのドラマのオープニングはいつも中盤だが)、ただならぬ気配を漂わせていた。

 奈々は、流産してしまった。医師(伊藤かずえ)から初期の流産は珍しいことではないと告げられるも、唐突すぎる展開に2人の気持ちはついていけてない。

 しばらく経ってから、それぞれ強烈に悲しみが襲ってくる様子がリアルだ。特に奈々は翌日、また病院へ行くためバッグを手にした瞬間、大器がつけたマタニティマークが目に入り、涙が止まらなくなる。マークを引きちぎりながら嗚咽する深キョンの芝居は、彼女史上最高のものと思えるくらい気持ちがこもっていた。

 奈々は置き手紙を書き、失踪してしまう。

「ママになりたかったのでなく大ちゃんをパパにしてあげたかったのだと気付きました」「ごめんね大ちゃん……、ごめんね赤ちゃん……」と、自分を過剰に責めてしまう様子がリアルだとの視聴者の声が多かった。

 次回、ドラマは最終回を迎える。今回植えられたオリーブの木が今後、どう成長するのかもっと見ていたい。
(文=柿田太郎)

 

 

最終更新:2018/03/16 22:30
12
ページ上部へ戻る

配給映画