佐川宣寿氏の国税庁長官辞任で「財務省vs政治家」の全面戦争が始まる!? パナマ文書が“爆弾”に……
財務省の決裁文書改ざん問題で、国税庁長官を辞任した佐川宣寿氏への追及が強まっている。野党が求めてきた国会での証人喚問には長く政権与党は拒否姿勢を見せてきたが、それも一転。自民党と公明党の国対委員長が、それぞれ証人喚問を検討する考えを示した。ただ、これには財務省から「佐川を呼べば潰される政治家が出てくる」と不気味な予言も聞かれるのだ。
「この件は、そもそも政治家サイドの忖度で起きた問題なのに、そこを虚偽答弁までして守ろうとした佐川さんをひとり悪者にしているのは許されない。省内には『佐川さんを見捨てるなら、こっちも政治家を見捨てる』と言う人もいます。タックスヘイブンの件をはじめ、隠してきたものをリークするだけで連中はひっくり返るはず、とね」(同)
こう話すのは財務省勤務の男性で、政治家の生命線につながる危ない話を財務省が握っているというのである。
そのキーワードとして出てきた「タックスヘイブン」といえば、2年前に国際ジャーナリストの組織が公表した「パナマ文書」が有名だ。過去40年にわたり世界各国の企業や要人らがパナマの法律事務所経由でペーパーカンパニーを作り、租税回避や資産隠しをしていたと思われるもので、法人21万件の中には伊藤忠や丸紅、イオン、電通、ソフトバンクなどのほか、三木谷浩史(楽天)、柳井正(ユニクロ)、安田隆夫(ドン・キホーテ)といった個人名もあり、大きな疑念を渦巻かせた。
「この件の調査を強く進めていたのが佐川さんなんですよ。といっても、該当者を追及するためではなく、弱みを握るため。パナマ文書には、財務省の事務次官や主計局長などそうそうたる面々が関与していて、安倍(晋三)首相が大抜擢した秘書官もそのひとりです。カネの出所は大半が紐付いてる大企業ですから、そこを押さえておけば『政治家の金玉を握るようなもの』なんです。安倍さんのお友達である財界人も痛いところを握られているので、もしこのまま佐川さんがひとり悪者にされる方向に進めば、ひと波乱起きてもおかしくはないですよ」(同)
森友問題は、大阪府豊中市の国有地を約8億円値引きして売却した“特例”取引の経緯を隠ぺいしたものだが、証拠となる決済文書の改ざんでは、政治家の名前など約280カ所が書き替えられたり削除されたりしているという。そんな中、本件を担当した近畿財務局の末端職員が責任を押し付けられる状況で自殺。これには、当初は隠ぺい姿勢に同調していた省内の風向きも変わったという。
「仲間がハラキリさせられたことは道理を超えてあまりにつらい話。佐川さんの件に関係なく、独断でいろいろ暴露に走る職員が出てきてもおかしくはないですし、実際に朝日新聞にリークしたと思われる職員もいますからね。いま信頼が落ちまくっている財務省としても、もしパナマ文書とかタックスヘイブンを追及する動きが強まれば一気にイメージ回復できるので好都合」(同)
一説には、第二次安倍政権の中で不審死を遂げた内閣関係者にまつわる重要な話を知る財務官僚もいるというが、佐川氏を証人喚問する可能性が高まっている与党の姿勢が、財務省から見て“裏切り”と映れば、今後どんな危ない話が出てきてもおかしくはないだろう。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)
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