これが“岐阜らしい風景”!? 閑散「問屋EXPO」に未来はあるか……実行委員会代表を直撃!
#地域
「有名人が多数出演など豪華企画なのに客が全くいないという事態に……」2月10日からの3連休の期間に開催された催しが、そんな不本意な形で注目されてしまった。
注目を集めたのは、2月10・11日の2日間、岐阜市で開催された『Tonya EXPO(問屋EXPO)』だ。会場となった岐阜市の問屋町は戦後、縫製業で発展した地域。だが、近年は衰退が著しく、最盛期には2,000あった店舗も、今は200を割り込む事態になっていた。そうした中で、街の再生を願う地元の人々によって立ち上げられたのが、今回のイベントだった。
ステージには、ET-KINGや土屋アンナなど著名アーティストも登壇。歩行者天国を実施し屋台も並ぶ、力のこもった企画が揃えられた。ところが、当日のイベント開催中の時間から来場者のTwitterでの写真付きツイートが、予期せぬ形で注目を集めてしまった。
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「岐阜駅前問屋街の活性化のため、有名アーティストを多数動員、駅前のメインストリートを歩行者天国にするなど鳴り物入りで今日から始まった問屋EXPOいくら天気が悪いといっても、これはあかんやろ…」
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などの言葉と共にアップされたのは、閑散としたイベント会場の風景。これを見た人々が「岐阜らしい」「完全に広報の失敗」などとツイートし、主催者には不本意な形で「問屋EXPO」の名前が広まることになってしまったのだ。
しかし、さまざまな形で開催の様子を調べるとステージは盛り上がっていたり、人が集まっている様子も。加えて、閉会後に公式サイトに掲載された挨拶では来場者は8万人としている。
どうも、事実にそぐわない形で催しは失敗だったと広まっているのではないか。そう考えて、実行委員会にコンタクトを取った。
■「意図的に切り取られた」風景
答えてくれたのは、実行委員会代表の林伸将さん。まず聞いたのは、togetterにもまとめられている閑散とした催しの風景についてだ。
「意図的に切り取られています。会場は広いので実際に誰もいない通りも時間帯にやって存在しましたが悪意のある投稿です」
一見、憤りを感じているようにも聞こえる言葉だが、同時に林さんは、こうも話す。
「これも表現の仕方なので貴重な意見として受け止めています」
そして、批判に対しても謙虚な言葉を。
「企画から開催までの期間が短かったこともあり、契約書の問題で発表ができないことが多かったことや、場所の許可書の申請がギリギリまで通らなかったことで、広報ができませんでした。来場者数も目標に対しては少なかったです。ただ広報の問題や他にも原因となる課題は鮮明になっているので、次回に向けてしっかりと目標値に合わせたいと思います」
今回、注目が集まった点として上げられるものの中に、地域を盛り上げるイベントにもかかわらず、商店がカレンダー通りに休んでいることがあった。これは、問屋EXPOが初めての試みということもあり、様子を見る商店が多かったことが理由だ。
「問屋町の復興に共感していただいた方のみが当日出店された方です。数が少ないのは、それが現実です。だからこそ今まで衰退した原因です」
今回の開催は収支だけを見れば、赤字だという。それでも、林さんをはじめ実行委員のメンバーは当初の予定通りに、今年7月と10月の開催を決めている。
「継続しないと目的に対して効果は出ません。ですから開催します」
これまで筆者は、さまざまな地方での町おこしや活性化などを目的としたイベントを取材してきた。その中で「うまくいっている」「継続している」ものは、巨額な予算が投じられているとか、大勢の来場者がいるものではない。
主催者や運営スタッフ自身が、明確な目的意識を持ったり楽しんでやっているものである。要は「なんか、面白そうなことをやっているな」と、周囲の人に感じてもらえるかどうかがカギとなる。
問屋EXPOの運営には、まだ手探りの部分も多いように見受けられる。それでも、問題点を洗い出し継続しようとする意志が感じられる。そこには、今後の発展の可能性が表れているのではないのかと思う。
(文=昼間たかし)
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