フジテレビに「騙された!」と批判噴出……スピードスケート・小平奈緒の“棄権”隠して放送の是非
#スポーツ #テレビ辛口研究所 #平昌五輪
平昌オリンピックのスピードスケート500メートルで日本女子初の金メダルを獲得、1000メートルで銀メダルを獲得した小平奈緒選手。
そんな小平選手が、五輪後初の世界大会として3月3日、4日に中国・長春で行われる「世界スプリントスピードスケート選手権2018」に出場することが決まり、フジテレビは急きょ放送を決定した。
だが、そこでもやっぱりことごとく「持ってない」のがフジ。
小平選手は、3日の1回目500メートルで1位、1000メートルで4位となり、総合首位に立ったものの、4日の2回目500メートルで1位を獲得した後、1000メートルを棄権。原因は風邪気味で体調を崩していたことで、コーチがストップをかけたためという。
しかし、この放送にあたり、フジテレビに対して多くの批判が殺到した。
というのも、ネットニュースで小平選手の棄権が発表されたのは、番組放送開始前の7時台。にもかかわらず、その事実に一切触れないまま、番組は「緊急中継!」「小平奈緒記録更新へ」としてスタートする。
ネットニュースで小平選手の棄権を知っていた視聴者からは、こんな混乱の声が生じていた。
「このあとすぐです! って、小平さんは棄権でしょ」
「小平選手棄権のニュースをいつ切り出すのかが最大の気になるポイントになってきたフジテレビスピードスケート。画面上に『緊急中継!』と誇らしげに出ているのがまた。『緊急“生”中継』でないところがミソか」
何度も500メートルの録画のVTRが繰り返され、「棄権」については一向に触れない。
しかも、間にニュースを挟み、そこでもやはり触れることなく、ようやく「棄権」と報じたのは番組開始から1時間以上がたってのことだった。
これにはネット上で怒りの声が噴出した。
「小平奈緒、棄権が決まってるのにフジテレビはどこまで引っ張るのか? まだ棄権の表示はなく、記録更新へ……となっている」
「小平奈緒は棄権してるのな フジテレビは視聴者をどこまで騙すのかな?」
「小平奈緒選手が棄権したのは知ってたけど、他の選手もいるしフジテレビの中継を見てた。でも、いつまでたっても小平選手の棄権のこと言わないし、逆に『新記録へ!』みたいにひたすら煽ってて、このテレビ局は視聴率のためなら視聴者を平気で騙すんだなーって……。気分悪くてチャンネル変えた」
急きょ2時間の放送枠を設けただけに、小平選手の棄権はフジテレビにとって「想定外の困った事態」だったのだろう。
番組開始前に「棄権」とわかっていれば、最初から番組を観ない人も当然増える。
それにしても、誰でもいつでもネットで情報をすぐに得られる時代に、なぜ「棄権」の事実を告げずに1時間以上引っ張ったのか?
スポーツ番組に携わってきた、ある放送作家は言う。
「小平選手の『棄権』を伝えなかったことに対する違和感は、あまりありません。結果を知らせずに放送することは、スポーツ中継ではよくあります。スポーツファンにとっては『結果を知ってから見たくない』という思いがありますから。また、もしかしたらスタジオ部分もライブ中継ではなく、収録だったなどの事情もあるのかもしれません」
例えばフィギュアスケートなど、昼間に大会が行われていても、ゴールデン帯のほうが数字を取れるため、夜に放送するということはよくある。その際、結果をあらかじめ伝えたりはしない。
「ネットでも、例えばYahoo!のトップの見出しに、今回のように『〇〇選手棄権』と出る場合もあれば、単に『〇〇選手の結果』と出る場合もあります。それはテレビ中継に配慮し、先に結果がわかってしまわないようにするためです」(同)
確かに、試合を後でゆっくり見ようと思っているとき、ネットなどで結果を知ってしまい、「先に言わないでくれ!」と思うことはある。今回の場合は、逆に「(棄権が発表されていたなら)先に言ってくれ!」と思わされる場面だったが……。
「結果を知らせずに中継すること自体は、スポーツ中継としては珍しくなく、普段通りのスタンスのはず。ただし、今回の対応が普段通りでよかったかどうかはわかりませんが」(同)
その理由として放送作家が挙げる理由は、次の通りだ。
「普段スポーツ中継を見ている人だったら、棄権について触れないことを『そういうモノ』と思うでしょう。でも、普段あまりスポーツ中継を見ない人からすると『あれ? 騙された!』と感じるのではないかと思います」
金メダル獲得後に注目度も期待度も高まり、普段スポーツを見ない人も関心を持つようになるのは良いこと。しかし、そのにわかブーム的な状況に加え、「フジテレビ」に対して人々の抱いていたネガティブなイメージが合わさって、不満の声につながったのかも。
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