中国で多発する“死者誘拐”の恐怖……他人の骨壺を掘り起こし「返してほしけりゃ金出しな」
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誘拐が社会問題となっている中国では、行方不明児童の数は20万人ともいわれている。
ただ、誘拐されるのは子どもばかりではない。時に、墓地に眠る死者までもが誘拐され、人質にされるのだ。
中国看看新聞(2月10日付)によると、江蘇省揚州市の郊外にある墓地では、2012年頃から複数の骨壷が盗まれる事件が続発している。
現地メディアによると、同墓地からこれまでに盗まれた骨壷は全部で5つ。そしてそれぞれの遺族の元には、匿名の不審なショートメールが送られてくるのがパターンなのだという。
メールには、骨壷を盗んだと思われる犯人から「骨壷を返してほしければ20万元(約330万円)を用意しろ」と書かれており、さらにメールには盗まれた骨壷の写真も添付されていたというのだ。身代金を目的とした、死者誘拐ともいうべきか。
遺族たちは、こうした犯人からのメールに返信することなく、速やかに警察に被害届を提出した。
しかしショートメールから犯人の身元を割り出すことはできず、警察の捜査は難航を極めた。ところが2月9日、事件は突然の進展を見せる。
メディアによると、これまで身元が割れないよう非通知で遺族にショートメールをしていた犯人が、2月に入ってから突然、非通知を解除し、遺族に金銭を要求する電話をするようになったのだ。警察は発信元の電話番号から身元を割り出し、犯人は逮捕された。
犯人の自宅の車庫からは、これまでに盗まれた骨壷5つが見つかった。当初、容疑を否認していた犯人だったが、次々と見つかる物的証拠に観念し、犯行の経緯を白状した。
供述によると、犯人の男には数百万元(数千万円)もの借金があり、返済に困っていたという。そんな中、骨壷を盗み遺族から金銭を脅し取ろうとする今回の犯罪を思い付いたのだという。また今年に入り、借金の返済で生活が困窮していたことから、メールに返信しない遺族たちにしびれを切らし、電話をかけて金銭を要求したようだ。
現在、犯人の身柄は当局に移送され、盗み出された骨壷も遺族のもとに返されたという。しかし、死んでなお誘拐される心配をしなければならないとは、皮肉なものだ。
(文=青山大樹)
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