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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 歌舞伎町のホストが抱える『傷』

被災地の復興をめざしてホストに!? 作家・石井光太氏が歌舞伎町のホストとトークイベント

 2月16日、作家の石井光太氏による、風俗の世界で生きる男女の小説『世界で一番のクリスマス』(文藝春秋)の発売を記念し、「歌舞伎町ブックセンター」で、歌舞伎町現役ホストとトークイベントが開催された。

 テーマは、「歌舞伎町で『傷』を持って働くということ」。女性の場合は、過去の傷を働いているということをクローズアップされることが多いが、ホストもいろんな過去を抱えているのではないか?

 そんな石井氏の思いつきから、今回、岩手県の大築町出身で高校1年時に東日本大震災にて被災し、「APiTS」で働く友夜(トモヤ、23歳)と、児童養護施設で育った過去を持つ「スマッパ・ハンス・アクセル・フォン・フェルセン」所属の陽虎(ハルト、19歳)の二人がゲストとして招かれ、登場した。

 さらに、伝説のホストと言われ、ホストクラブやバー、ヘア&メイクサロン、会場の歌舞伎町ブックセンターなども手がける「Smappa!Group」会長の手塚マキ氏(40歳)も姿を現した。

 会場には、思いのほかマジメそうな見た目の男女を中心に約30名が来場。そこに派手なホストが入り乱れ、独特のカオス感な空気に。石井氏が「ホストクラブ行ったことがある人!?」と聞くと、1人だけこっそり手が上がる中、スタートした。

 

■ホストクラブへ行くなら、5万円握りしめて行こう。

 

 まず最初に石井氏が切り出したのは、歌舞伎町の概要。一体何軒がひしめき、どれぐらいのお金が動いているのか。

「歌舞伎町だけで200軒ぐらいあると思います。1カ月の売り上げは、飛び抜けて多いところで1億円。流行ってる店で2,000万ぐらいですね」と手塚さん。

「1回の入店につき、大体おいくら?」と質問すると、「5万円ぐらい使えると、ホストクラブの遊び方としてはおもしろいですよ」と指南。その内訳は、入店で約1万5,000円、指名したホストに加えて、数名のヘルプというお姫様状態で、ひとり2杯ぐらいずつ飲んでもらい、3、4万円だという。

「好きなもの食べて飲んでいいよーとやっていると、みんなが心地よく飲めるんですよ。注文が入らないと、失礼しまーす! 水いただきまーす! みたいな感じになるので、お互いに気まずい(笑)。だから、5万円ぐらいあると、余裕を持って楽しめますね」

■復興を目指す公務員志望から、歌舞伎町ホストへ

 

 続いて、気になる現役ホストへの質問。まず紹介されたのは、友夜。髪の毛を逆立てたザ・ホストというファッションではなく、原宿にでもいそうなオシャレな青年だ。岩手県の大槌町出身で、高校1年生の修了式後に被災した。

「家族と連絡が取れない状況で、死んだんじゃないかなという恐怖に襲われました。街を歩くと、遺体がそこら中に横たわる中で、生と死が隣り合わせの状態でした」

 大槌町といえば、津波に続き、ガソリンスタンドが爆発。町は火の海と化し、約1割もの人が死亡・行方不明となった。へどろの匂い、腐乱臭が鼻をつく中、友夜は必死に避難所をまわり、幸いにも家族と再会することができた。家は半壊していた。

「震災があった時に、僕は街の復興に携わる仕事がしたいと思ったんです」

 そこで、盛岡の公務員の専門学校へ。ある時、岩手県の大きな祭り「盛岡さんさ踊り」があり、そこで海産物を販売していた社長と仲良くなり、いずれ地元で事業するから、岩手の牡蠣を扱う東京のオイスターバーで働きなよ! と誘われ、上京する。ところが一転、ホストに。

「オイスターバーでは、お客さんとの距離感が離れている感じがしたんですよね。僕は、もっと濃い話がしたかった。悩みごととか、そういうのを聞ける人間になりたい」と静かに熱く語る。続けて、「地元にバーとかでも、飲み屋さんでもいいし、ライブができるとか、若い人が集まる場所をつくりたいです。何もない町なんですけれど、そこにいる人たちは、いい人ばかりなんです!」と夢を語る姿は、キラキラとした好青年すぎて、なんだろう、なんか戸惑う!

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