シリーズ初のW戦隊『怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』銭形警部に松田優作にキャッツアイと小ネタ満載
#テレビ朝日
■ルパン三世はもちろんキャッツ・アイまで
夜野魁利(ルパンレッド)は普段軽いノリで、宵町透真(ルパンブルー)はクール。それはどこかルパン三世と次元大介のようだし、これに早見初美花(ルパンイエロー)を加えた3人で普段飲食店を切り盛りしているところなどは、3姉妹で喫茶店を営んでいた怪盗漫画『キャッツ・アイ』を思わせる(警察であるパトレンジャーが普段その店を何も知らずプライベートで利用している点も『キャッツ・アイ』の内海俊夫と同じ)。
名字にはそれぞれ夜を思わせる単語が入り、下の名前を一文字ずつとると「かい・と・う」と細かい。
普段は私服だが、怪盗として活動時はシルクハットにアイマスクにスーツとやや変態のような格好で、レンジャー変身後は顔面にシルクハットを模した仮面とマント、全体に暗めの出で立ちでシック。変身後、名乗り口上をする際は、どこにいようが背景が夜のレンガとなりスポットライトで照らされ、BGMもジャジーな雰囲気で全体にスタイリッシュ。
それでいて「例え誰かが倒れても、最後に夢が叶えばそれでいい」とピンチになってもお互いを無駄に助けないという厳しい約束もかわしているなど、昔に比べ全体に情報量が多い。
■銭形警部っぽいパトレン1号
対するパトレンジャーはといえば、朝加圭一郎(パトレン1号)は、いわゆる堅物として描かれ、犯罪ゼロを目指すまっすぐな熱血漢。若そうなのに私服はトレンチコートで「おのれ、怪盗~」とか「貴様ら逃げるつもりか~」と腕を振り上げて追いかける三枚目ぶりなどは思いっきり銭形警部。
イメージカラーも赤なので不遇のスター赤木圭一郎を連想する名だが、ここまでくると子どもはもちろん50歳以下の多くもピンとはこないだろう。
パトレン2号、3号となる陽川咲成や明神つかさと共に明るい系の名字に、同じく下の名から一文字ずつ取ると「けい・さ・つ」。
彼らを指揮する管理官の名前はヒルトップ(=昼トップ・お笑いグループ超新塾のアイク)で、本部にいるロボットはジム・カーター(事務方)ととことんダジャレ。
変身後は警官の帽子をイメージしたマスクに警察っぽいエンブレム、胸元はネクタイをモチーフとしたストライプデザイン。戦闘前に「国際警察の権限において、実力を行使する!」と口上を述べたり、戦闘中にメガホンを使い敵に大声で指示したり、そのメガホンから三段式のスライド警棒が出てきたりと、警官らしき仕様満載。「パトレンU号」として3人が初合体した際には「なんじゃこりゃあ!?」、もちろん『太陽にほえろ!』のジーパン刑事(松田優作)の殉職時の名セリフだ。
■「デカレンジャー」と共演は?
警察をモチーフとした戦隊モノとしては、04年に放送された『特捜戦隊デカレンジャー』があるが、こちらも小ネタが多く、ボス(デカマスター)がヘリから狙撃したりと完全に『西部警察』の大門警部(渡哲也)だった。この脚本は、本作『~パトレンジャー』の脚本家・香村純子(生粋の戦隊モノファン)の先輩(同郷の中学でも先輩)にあたる荒川稔久(なるひさ)が担当しており、香村も意識しているという。
パトレンジャーが国際警察所属の警察官、デカレンジャーは宇宙警察の地球署に所属する刑事で、デカレンジャーは10年後の世界を描く『特捜戦隊デカレンジャー10YEARS AFTER』も作られていたり、『スペース・スクワッド 宇宙刑事ギャバンVS特捜戦隊デカレンジャー』で「刑事」共演もしているので、本作でもどこかで共演を期待したい。
銃のような武器を交え戦う至近距離での肉弾戦はまるでジョン・ウーの映画のようだし、タイムレンジャー以降増えたCGシーンも今作はてんこ盛りで賛否はあるが、近年見ていない方々も、これを機にぜひ一度ご覧いただきたい。
(文=柿田太郎)
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