「メダルが期待できるわけでは……」東京マラソン“日本新で1億円”に世界から失笑
#マラソン
2月25日に行われた「東京マラソン2018」で、設楽悠太選手(Honda)が2時間6分11秒の日本新記録を樹立。ボーナスとして設楽には、日本実業団陸上競技連合から1億円が贈られるが、東京五輪でメダルが期待できるかといえば、それはまた別の話のようだ。
設楽は東洋大学時代、双子の兄・啓太とともに箱根駅伝で活躍。3年連続で区間賞を獲得し、16年のリオ五輪にはトラック競技の1万メートル代表で出場した。今回が3度目のフルマラソンだった設楽は、いったん先頭集団から遅れたものの、ジリジリと追い上げて従来の日本記録を5秒更新。日本実業団陸上競技連合が3年前に設けた報奨金制度により、1億円のボーナスが贈られることになった。スポーツライターが語る。
「25日は気温が7~8℃で、風もなく日も陰っており、ランナーにとっては絶好のコンディションでした。かつての東京マラソンはアップダウンが多く、海沿いの風にもさらされるコースでしたが、17年からはアップダウンがほとんどなく、風の影響も受けにくいコースに変わり、一気に超高速化しました。25日のレースは、1人目のペースメーカーのペースが今ひとつ安定せず、前世界記録保持者のウィルソン・キプサングも途中棄権してしまいましたが、ペースが安定してキプサングと競るような形になっていれば、タイムはさらに縮まったでしょう」
報奨金制度は、低迷が続く日本の男子マラソン界に活を入れ、20年の東京五輪でのメダル獲得を目指すため、15年に設けられたもの。「Project EXEED」と名付けられた強化プロジェクトは実を結んだようにも見えるが、東京五輪でのメダルを期待するのは、いささか早計のようだ。箱根駅伝ほか、陸上関係の取材経験も多い週刊誌のスポーツ記者が語る。
「今回、設楽が破った日本記録は2002年に作られたもの。日本男子勢が16年間もモタモタしている間に、世界記録は2時間2分台にまで伸びました。日本記録と世界記録は3分以上の差がありますし、設楽の記録は世界歴代ベスト100に入るか入らないかというタイムです。マラソンはコンディションに大きく影響されるため、トラック競技ほどタイムは絶対視されませんが、昨年のキプサングの優勝タイムは2時間3分台。設楽は、日本記録とはいえ2位で、優勝したチュンバには40秒以上差をつけられています。世界随一の歴史と格式を誇るボストン・マラソンでも、優勝賞金は千数百万円です。2位の選手が腕を掲げてゴールし、優勝選手よりも多くの賞金をもらうなんて、世界から見ればいい笑いものです。男子マラソンでは『日本人トップ』という単語がしばしば使われますが、そんな単語を使っている時点で五輪のメダル争いなんて夢物語ですよ」
世界記録の3分差は、距離にしておよそ1キロメートル。数メートルならともかく、1キロの差は、あと2年で埋まるのだろうか?
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