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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > ボイストレーナーが思う“イケボ俳優”
「声」にコンプレックスがある人へ――[3]

ボイストレーナーが考える「イケボ俳優」とは? 今から間に合う“モテ声”入門

『1日で感動的に声がよくなる!歌もうまくなる!! 』(すばる舎)

「声が好き」は時として超強力な「顔が好き」をも凌ぐ吸引力を発揮する。いわゆるイケボ(イケてるボイス)とは何なのか? そして、自らをイケボにするには何が必要なのか?

 東京品川にあるボイス&メンタルトレーニングスクール『アマートムジカ』を運営する堀澤麻衣子氏、司拓也氏に、イケボで歌うコツ、イケボで話すコツについて聞いた。

◆過去のインタビューはこちらから◆
[1]居酒屋で声を張り上げているのに店員が振り向かない人は何がいけない? ボイストレーナーに聞く!
[2]声がでかい人必見! もう傷つかずに済む声の調整法をボイストレーナーに聞いてみた

 

■テクニシャンは「地声」と「エアー」を使い分ける

 

――今の流行りの歌を聞いても「声を張って歌う」というよりも、「空気に音を乗せる」ようなものが目立ちます。昨年公開されたアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の主題歌であり、YouTube再生回数が1億回を超えた『打上花火』はDAOKO さん、米津玄師さんの男女のデュエット曲ですが、どちらも空気に声を乗せるような、張らない、叫ばない、「エアー」な歌い方ですよね。

司拓也氏(以下、司) 最近はエアー系が確かに多いですね。ただ、すべてがエアーばかりでなく、地声も載せてバランスを取りつつ歌っている人が多いと思います。

 地声ばかりだと聴き手は疲れてしまって、エアーばかりだと迫力がなくなってしまうんです。

玉置浩二(ソニーミュージック オフィシャルサイトより)

堀澤麻衣子氏(以下、堀澤) 玉置浩二さんは、エアーなところはエアーですが、張るところは張っている。そのグラデーションを使って歌える人は歌が格段にうまいと思われますし、聞いている人が飽きないんですよね。

 例えば、DREAMS COME TRUEの吉田美和さんは声が出ているし、すごく歌が上手いのですが、基本的にはとても喉が強くてずっと張っていますよね。

――バラードや静かな曲でもクリアな歌声で、エアー感が確かにないですね。

堀澤 ただ、地声だけが続くと、一曲ならいいのですが、アルバム一枚聞くとちょっとおなか一杯になってしまうんですね。これはエアー系でも同じで、ずっとエアー系だと、ちょっとぼんやりしてしまう。どちらかだけだと飽きてきてしまいがちです。

 地声とエアーのグラデーションが上手いのはMisiaさんですね。

 なお、歌声のボイストレーニングは、まず「エアー」な声を出す指導をします。そうすると喉が開くので、そこから「芯を作る」練習をして地声も鍛えます。

 芯を細くすればするほど、地声になります。芯は麺の太さによく例えますね。エアー系はきしめん、地声は素麺というような。芯がくっきり細くない状態であればあるほど、空気交じりの、エアーな声になります。

 ちなみにエアーの強い声はジャズ、シャンソン、フレンチポップスに向いています。

――吐息を感じさせるから、大人っぽさや色気が必要な曲に合うのでしょうね。

堀澤 はい。もっとこれに芯を作ると、ポップスにも合うクリアな声になります。ポップスにエアーすぎる声だと「聞こえない、聞き取りにくい」となるので、声に芯があることが大切なんです。

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