居酒屋で声を張り上げているのに店員が振り向かない人は何がいけない? ボイストレーナーに聞く!
#インタビュー #石徹白未亜
■歌うときと話すときのボイストレーニングで鍛えるポイントは異なる
――しゃべるときはこもっていても、宇多田さんは歌うときはまったくそう感じさせませんよね。
堀澤 はい。歌のときは思い切り息を吸わないといけないのと、音程をとるために、自然と頬骨が上がり顔全体が動くんです。
――歌のボイストレーニングと、話すためのボイストレーニングは必ずしも一致していないんですね。
堀澤 はい。スクールでも歌のコースと話し声のコースは分けています。ただ一部は共通しており、正しい発声の基本は、息を吸って吐くことです。歌のトレーニングでは、喉をあけてたくさん息を吸って吐けるようにトレーニングをします。そうすることにより声が小さくて悩んでいた人が、歌のトレーニングで呼吸が上手になり、気がついたら、しゃべり声も改善されていたということはよくあります。
ただ、話す声をよくするには「メンタル的な要素」が大きいんです。「自分に自信がない」という気持ちが強い人にそのままの素の声を出してもらう際には、ボイストレーニングにプラスして「メンタルアドバイス」という別のアプローチをすることで声が良くなっていきます。
■居酒屋で店員を呼んでいるのにさっぱり振り向いてもらえない問題
――賑やかな居酒屋で、店員さんに「すみませーん!」と本人にしてみれば大きな声で叫んでいるのに店員さんがさっぱり気づかない人っていますよね。
司 はい。それが「大きいのに通らない声」です。一方で、声量は大したことがないのに、店員さんがすぐ気づく声もあります。これが通る声と通らない声の違いです。
――声をどうしたら通せるのでしょうか?
司 通らない声の人は空間に声が拡散しているんです。一方、通る声の人は一点から声が出ている。スクールでは、口全体で声を出すのでなく、上の歯の前歯と歯茎の間に1ミリ以下の小さな穴があいていて、その一点から声を高速で出すように、と指導しています。
堀澤 さらに、声の目的地ですね。後ろを向いている店員さんを呼びたいなら、「店員さんの後頭部の下の首の骨が出っ張っているあたり」を的にして、発声しましょう。
――目標は頭じゃなく、首なんですね。
堀澤 はい。正しい発声法を用いて、声の目的地を首にしてみてください。
――声を散漫に空間に広げようとせず、始点と目的地の、声の道を作ることが大切なんですね。
* * *
次回は引き続き堀澤氏、司氏に、「声がこもる」「声が小さい」に並ぶ声の悩み、「声がデカい」の解消法について聞いていく。
(文/石徹白未亜[http://itoshiromia.com/])
「アマートムジカ」ホームページ:http://amatomusica.com/
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