奈良県の“元暴力団市議”問題に地元記者は及び腰「報じたら自分や家族が危ない……」
#暴力団 #維新の会
日本維新の会公認の奈良県香芝市議・鈴木篤志議員が、山健組の元暴力団組員だと報じられたが、地元紙の記者は「この話を追うと地元ヤクザを敵に回すってウワサがあって、怖くて後追いできない」と言っている。
「全国的な暴力団追放キャンペーンでヤクザが街から消えたって言いますけど、それは都市部の話ですよ。地方だと、警察や政治家、地元企業までそういう連中を黙認して、昔と変わらないつながりが残ってるところが、まだまだあります。香芝は“山口組”が幅を利かせてきたテリトリーで、実際に事務所もありますし、過去に手榴弾が爆発する事件や、詐欺事件なんかも起こしてます。でも、ヤクザがらみの話を追及するのはタブーなんです。万一にも敵意を持たれたら、ヤクザだけじゃなく地元の権力者や有力者からも睨まれる可能性があるので、一切触れられないです。元ヤクザ議員もその類いの匂いがプンプンします」(同)
実際、ヤクザ議員のニュースを後追いする記者は、異様に少なかった。維新の会の本拠地・大阪では2月16日、松井一郎府知事の定例会見があったが、本件について質問した記者はひとりだけで、これに松井知事が「僕は会ったこともない」「その人の過去の問題について聞かれても、答えを出せるような状況ではない」と、まるで他人事の回答だったのに、記者らは結託して「本件はノータッチ」と決めたかのように追及しなかった。
問題の鈴木市議は、暴力団関係者が「組員だった」と証言し、当時の写真まで掲載されている。2013年に破門となっているが、市の暴力団排除条例では、脱退後5年間は暴力団員扱いされると定められており、これは全国でもおおよそ一般的な目安だ。問題は鈴木議員がこれを隠して17年の選挙で当選していることで、「週刊新潮」(新潮社)の記事では、当人は市議会から聴取を受けても暴力団の経歴を否定したという。こうなると「隠していた」のみならず「ウソをついていた」ことになる。「過去の経歴なんか知らない」で済まされる話ではないだろう。
鈴木市議は、立候補時の公式プロフィールに学歴「奈良大学付属高校卒業」、現職「県議秘書・会社役員」、家族「妻・3女・2男の7人家族」、尊敬人物「本田宗一郎」と書いてはいたが、過去の経歴については一切触れていない。子育て支援や議員報酬2割減の公約を列記しても、これは維新の会の候補者全員が共通で記していたもので、何者かよくわからない人物だった。
ポスターには松井知事と写真を大きく並べたものもあり、そのあたりいろいろ突っ込めそうな話があるはずだが、「これを報じた週刊誌は東京の方々だからやれたんでしょう。関西じゃ追及するの怖いですよ」と前出記者。
「破門となった元暴力団組員であれば、更生して再チャレンジするということ自体は否定できませんけど、何しろヤクザが普通に存在する世界でのこと。裏社会の動きに精通しているなら、アウトローな人間が絡みたがる公共事業などにも暗躍できます。ちょうど香芝だと、ゴミ処理事業に怪しい金の動きがあって、そういうところでヤクザが暗躍することだってあり得ます。元ヤンキーみたいな市の職員がまったく出勤してなくても1年ぐらい給料をもらえていたりもしましたし、そんなことがあったのもアウトロー絡みの匂いがしました。でも、そんなの追求したら自分や家族が危険に晒されますよ」(同)
ひと昔前までは政治家と反社会勢力が裏でつながっているという話は当たり前だった。関西では入れ墨をした元アウトローの職員が多数いることが話題になったこともある。前回の市長選(16年)が無投票で決まった香芝市だが、ヤクザ市議を野放しにしているのは、裏社会の存在を気にして波風を立てない地方の町にありがちな“空気感”ということなのか、はたまた……。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)
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