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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > マンガで読む“国産ボブスレー”の苦悩
じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

あの“下町ボブスレー”のマンガ版『黒鉄ボブスレー』で読み解く「国産ボブスレー」の苦悩とは?

 しかし、実は大田区のプロジェクトの他に、もう一つの国産ボブスレープロジェクトが立ち上がっていました。それは黒井精機にとっては宿敵ともいえる鳴神自動車によるプロジェクト。こちらは開発費1億円以上の潤沢な予算や人脈、ラトビア製の最新ソリをベースとした設計などで、テツたちの作る黒鉄ボブスレーよりも4秒以上早いタイムを叩き出し、一躍、国産ボブスレー期待の星としてマスコミに取り上げられることに。強すぎるライバルの登場に意気消沈するテツたち。

 ところが、そんな鳴神自動車製のボブスレーですら、ボブスレーの世界大会では全く通用せず、壁にぶち当たってしまったのです。そして、鳴神自動車はテツの黒鉄ボブスレーチームへ共同開発をオファーするのですが、鳴神自動車と黒井精機のどっちの名前を看板にするかで話が折り合わず、ついにはテツと鳴神自動車の御曹司トオルが草相撲で決着をつけることになります。オリンピックの明暗を左右するビジネスライクな交渉なのに、急にそこだけ下町っぽい決着方法が採用されちゃうあたり、いい味出してます。

 相撲の結果はテツの勝利、トオルのアイデアにより「黒鉄」を「鐵(クロガネ)」の名前に変えた、新生「鐵ボブスレー」が、満を持してついに冬季オリンピックにデビュー! オールジャパンボブスレーチームは最強の国産ボブスレーで、金メダルに向けてレッツゴーだぜ!! という文句なしの感動的なストーリーであります。ちなみに、いつのオリンピックなのかは、特に言及されていないのもポイントです。

 実際の下町ボブスレーも、マンガのようにビシっとサクセスストーリーが決まったら、映画化間違いなしだったと思うのですが、現実は厳しく、日本チームでの採用はおろか、ジャマイカチームにも性能不足でソッポを向かれてしまったというのが、今の状態です。果たして、今後の“下町ボブスレー”はどうなってしまうのか? 2022年の北京冬季五輪では、「黒鉄ボブスレー」みたいにすごいボブスレーを作って名誉挽回してくれるのか? 要注目ですね。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

◆「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/07 19:32
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